シャインのレビュー・感想・評価
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純粋に自分のやりたいことを追い求める姿は輝いている
大好きな映画。
天才的ピアニストの半生を描く作品。
とにかく、作品を通して、映像と音楽が美しい。加えて、役者の演技もすばらしい。主人公の才能が開花していくと並行して、狂気じみていく様子だったり、厳格でありながら、ある意味、世の中的には負け組の父親と主人公との距離感の変遷だったり、その父親にやらされきたピアノだが、精神に異常を来たしてしまったそんなときに、自分を表現できるのはやはりピアノだったり、とにかく、もう、全てが素晴らしい。
圧巻は、汚いアパートメントでピアノを禁止されてしまったデイビットが、ふらふらと立ち寄ったレストランで、見事にピアノを演奏するシーン。泣ける。ホント、号泣。
自分が本当にやりたいことって、実は分からなかったりする。年を取れば取るほど、分からなくなっていったり、分かっていてもできなかったり、臆病になってやろうとしなかったり。
本当に純粋に自分のやりたいことを追い求める姿は、たとえその過程で常識を逸脱した行為があろうとも、そこに才能があって、周囲を幸せにすることができれば、それはやはり輝いているのだと思う。
絶対に観るべき映画。短く、完結にまとまっているが、その短さを感じさせない名作。
鑑賞後、ジェフリー・ラッシュ!!!!と、雄たけびを上げたくなる。 ノア・テイラー氏の演技も鳥肌ものなのに。
実話。
でもデイビット氏の兄弟からクレームとな。
実際は藪の中。羅生門エフェクト(心理用語。詳しくは『羅生門』のレビューをご参考下さい)。
言えることは、デイビットが語ったことを妻が書いたということだけ。(デイビットの心的現実+妻の価値観によってできた物語で、ある意味、これも事実)
そうか。奥様と出会ってからラストまでが、すごくお座なりな描き方で違和感あったんですよね。
「父の愛によって狂気に追いやられ、妻の愛によって復活した」というのなら、もっと妻と愛を深める過程をじっくり描くだろうにと不満だったが、そういう理由があったのね。原作本の映画化版権を妻が持っているから、へたな描写して「NO」と言われたら全てがとん挫するものね。
父。私には、暴君には見えなかった。
ナチスによって家族を殺されて家族が離れることが怖かった父。ああ、ここでもナチスの影が、とそちらの方が唖然とした。根深く引きずるPTSD。
子が「もっとうまくなりたい」と望む。”ラフマニノフ”にこだわる。反対する父。教えられないから。でも結局、父はレッスン料払えないと言う屈辱をさらしても最初の師に託すし、結局、父は留学資金集めを受け入れる。何とかしたいけど何とかできない父の背中が切ない。
それに留学すれば、誰が一番かという身も心も擦り切れる世界への参戦。「家族の元に留まれ」という父の言葉は「一番でなくたって愛しているよ」と聞こえた。この時点ですでに、精神障害の兆候が表れていたのでは?という人もいる。
「お前は運がいい」というのも呪縛にもなるし、幸運を願うおまじないにもなる。それになにより父の本音。ウクライナや各地で起こる災害・絶対的な貧困を考えても、どれほどの才能が花開かずに終わってしまうのだろう。ピアノを弾けているというだけでも幸運というのではなく、自分が心を籠められるものを続けていられるというのが当たり前の世界になってほしいのに。
「だから大丈夫だ」っていう。どういう意味で伝えるのか、どういう意味で受け取るのか、言葉って難しい。
『ファースト・ポジション』を観た後だからそんな思いが強いのかしら。
親と子の愛情って複雑。時が経つにつれ、思い出への意味づけも変わってくる。
子にしてみたら、一番の応援団になってほしい人からの反対。一番応えますね。自分目線からしか親を見れない年代。
”ラフマニノフ”にこだわったのはどうしてなのだろう。”一番”難しく、父さえ弾けない曲。父を喜ばせたかったのか、超えたかったのか。
そして、若きデビット氏の頼みから行われる師との常軌を逸した練習。本当にあんな練習だったのか?
そんな映画の事情はどうあれ、
ラッシュ氏の演技が圧巻なことは疑いない。
そしてノア・テイラー氏も。思春期の繊細な演技が光る。
父も師も重厚な演技を見せるが、ラッシュ氏が凄すぎて。
ラッシュ氏を初めて知ったのは『パイレーツ・カリビアン』こんなお子様映画にこんなすごい人がと釘付け。あういう映画でさえ、手は抜かない。そして『英国王のスピーチ』『鑑定士と顔のない依頼人』拝見する作品ごとに印象が違う。振り幅のすごさ。一つ一つの演技の確かさ。
だけど、このデイビットはそんなラッシュ氏の演技の中でも群を抜いている。
この年のアカデミー・主演男優賞。トム・クルーズ様もノミネートされていた。トム様推しの私だけれど、ああこの、ラッシュ氏なら、軍配ラッシュ氏でも仕方がないと思ってしまう(泪)。ゴールデングローブ賞はドラマとコメディ/ミュージカルで、分け合っていたけれど。
テイラー氏は『バニラスカイ』の監視員と『オールユーニ―ドイズキル』のオタクな科学者。こちらも印象違う。出てくるだけで結構インパクトがある。
そして何より、流れるピアノの素晴らしさは議論の余地ない。実際にデイビット氏の演奏だとか。
映画ラストのリサイタルより、バーで弾く姿が一番活き活きしているように見える。
リサイタルは批評家にさらされ、スケジュールに管理されている世界。本当にデイビット氏が望んだことなのか?コンクールに駆り立てた(ようにみえる)父と、リサイタルに引っ張り出す(ようにみえる)妻。同じように見えるのは私だけ?
なんて、映画での印象で決めつけるのは愚かしいけどね。
映像も色使いがとても洗練されていている。
バーの前の小雨はちょっと寒々しく。でもバーで皆に囲まれている場面は『NINE』?というほど煌びやか。小説家と青年デイビットの場面はとっても温かく、妻との家はガラス張り、と場面場面も美しく、音楽を引き立てる。
と、惚れこむ要素はたくさんある映画なのだけど、
鑑賞し終わっての印象が、ジェフリー・ラッシュ!!!!になっちゃう。
映画に感動というより、俳優の演技に喝采を送ってしまう。
父と子の物語は、見返すたびに意味付けが変わり、新たな発見がありそうだ。
なのに、成人になってからが別物語になったようにも見えて、
後半の妻とのエピソード、父を始めとする源家族とのエピソードをもうちょっと丁寧に描いてほしかった。惜しい。
なので映画としては☆1つ減らして☆4つです。
(原作未読・デイビット氏の半生知らず)
【”輝けるデイヴィッド・・。”今作は、天才ピアニストを育てた、様々な人の様々な愛の形を描いた作品である。精神に異常を来したデイヴィッドを演じたジェフリー・ラッシュの姿が印象的な作品でもある。】
ー 苦難を克服した実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴッドの半生を描く音楽ドラマー
■デイヴィッドは幼少の頃から高圧的で厳格な父、ピーター(アーミン・ミューラー=スタール)にピアノを仕込まれ、天才少年として評判になる。
やがて留学の話が出ると父は自慢げだったが、急に態度を硬化させた。
著名な作家、キャサリン・プリチャードの励ましで家を出たデイヴィッドはセシル・パーカーに師事するが、徐々に精神に異常を来していく。
◆感想<Caution 内容に触れています。>
・自らが、音楽家としての道を父に遮られたピーターへの複雑な気持ちがやや分かる気がする。
ー デイヴィッドが名を馳せるまでは、厳しく指導するが自分を越えようとする息子への、嫉妬にも似た気持ち。-
・だが、デイヴィッドは自らの意思で、英国王立音楽院に進学するも、徐々に精神に異常を来していく。
ー この様を、若きジェフリー・ラッシュが吃音を混ぜながら、絶妙に演じている。-
・ある日、デイヴィッドは街中のパブに置いてあるピアノを見つけ、見事なる演奏を披露し、喝采を浴びる。そして、終生を共にしたギリアン(リン・レッドグレーヴ)と出会う。
ー だが、その新聞記事を見た、父、ピーターがやって来ても会わず、父は寂しげに去っていく。
<ラスト、デイヴィッドとギリアンは、今は亡き父、ピーターの墓参に来る。
全てを赦したデイヴィッドの表情は爽やかだ。
今作は、天才ピアニストを支える人々の様々な愛の形を描いた作品である。>
実在するデイヴィッド・ヘルフゴットという天才ピアニストのお話。 厳...
実在するデイヴィッド・ヘルフゴットという天才ピアニストのお話。
厳格の父。幼い頃に父親から受けたこと、家族を失ったことから家族は一緒にいることが家族であるという、硬く歪んでしまった愛情を天才的な才能を持つ息子へ押し付けてしまう、なんとも切ない境遇が切ない境遇を生んでしまった。
父を愛するが故、父にずっとしばられてしまっていた。けれども、彼の周りには彼を理解し、助けてくれる人々がいて、それは救いであり、ほっとさせる。
ラストのシーンは全てから開放された、ぐっとさせられるシーンだった。
ジェフリー・ラッシュの演技がすばらしかったです。
厳格な父親。病んでしまう天才。彼は幸せなのだろうか?どこか悲しくも...
厳格な父親。病んでしまう天才。彼は幸せなのだろうか?どこか悲しくもあった。
実在される方のお話と知り驚いた。事実はいろいろ違う所があるようだが、ドキュメンタリーではないので気にしなくていいと思う。本作、ドラマとして面白かった。しかしなぜ父は子の留学を認めてやれなかった?子ども依存だそうな、なるほど。
この方のドキュメンタリー作品もあれば比較できて面白いかも。
圧倒されました。
デイヴィットの素晴らしい才能が埋もれないで良かったです。
デイヴィットに限らず天才的な音楽家や芸術家は苦悩の人生を歩む方が多いですね。
主役のデイヴィットを演じたジェフリー・ラッシュの熱演に圧倒されました。
父親役に注目して鑑賞
置かれた境遇の特異性が強い分だけ、
自分を主人公に置き換えることが出来なく、
距離を置いての鑑賞になってしまったが、
人間、どんなに厳しい境遇に
組み込まれたとしても、
自らの情念と周りの温かい手助けで
再生が可能であるとの、
製作者側の想いが伝わってくる
優れた作品でした。
ところで、この作品はジェフリー・ラッシュ
の凄すぎる演技でも有名だが、
私は父親役のアーミン・ミューラー=スタール
を気にしつつの鑑賞だった。
彼は米国映画「ミュージック・ボックス」
で印象的だったが、映画の内容は、
正義のためなら
ナチス協力の戦争犯罪人として、
実の父を告発するという
娘の驚くべき決断、
果たして日本人に同じ行動が出来るだろうか、
という非常に衝撃的な作品の
やはり主人公の父親役だった。
両作品の父親像として、
強い精神や肉体への崇拝感が
同じだったので、初めはドキッとしたが、
この映画では虐待を受けた側の
ユダヤ人の設定なので妙に安心しつつも、
民族や国家や立場を超えても、このような
似た人物像の演技を期待される俳優
でもあるのかな、
と彼の他の出演作品が気になってしまった。
尚、「ミュージック・ボックス」は、
「Z」「ミッシング」のコスタ=ガブラス監督
によるベルリン映画祭金熊賞受賞作品です。
すいません、
父親役がらみで「ミュージック・ボックス」
のお薦め投稿になってしまいました。
なんでお父さん、あんなに優勝にこだわるのに留学や進学は認めないだろ...
なんでお父さん、あんなに優勝にこだわるのに留学や進学は認めないだろう。戦争で家族離ればなれになった体験から家族が一緒にいることに固執したんだろうか??私には理解できない心情だった。
命を削る天才アーティスト
人の魂を揺さぶる音を奏でることのできるアーティストは、本当に身を削っているのかもしれない。
もし、あのとき親の制止を振り切らず、親元に留まっていたら、当然だけど違う人生があったでしょう。
どちらが幸せかは、もちろん結果論であってわからない。生きている限りハッピーエンドもバッドエンドもない、とは某芥川賞作家の言葉。
精神を病んで家に戻ったとき、変わらぬ愛情を捧げようとする父親。今なお父親の威厳に震えてしまうデイビッド。
天才肌のアーティストの生涯に、単なる幸か不幸かを論じるのは不毛だ。
彼の人生は、まだ続いている。
最初から 「天才」を目指す父親の失敗
狭量な父親が 生み出した「神童」の
挫折と再生の物語である
(挫折というより 破滅に近いか… )
ヘルフゴッドが 精神に異常をきたしてしまったのは 本当に悲劇である
芸術の理解だけを取っても 幼少期から視野を広げることは必要であった
時を経て、人々の助けを借りて 彼が再生したのは 神の恩賜か…
ノア・テイラーに 繊細さを感じ良かった
ラッシュは上手いのだけれど 絶対に精神的に崩壊しない感じがして…
パイレーツのあの人
人にもの貸すと帰ってこない定説を覆し、誰に貸したかわからなくなってたシャインのDVDが5年ぶりに私の元に帰ってきた!!
てことで久しぶりに鑑賞したけど、やっぱり名作過ぎてホント泣けました。
主役は今やパイレーツカリビアンでもお馴染みのジェフリーラッシュ
パイレーツのような娯楽作品にも出てるけど彼って本当に名優。
確か今作でアカデミー賞とってましたよね。
厳しすぎる父親のせいで精神に異常をきたしてきまった実在のピアニスト。
精神に異常をきたす難しい役所って誰でも演じる切れるわけじゃない。
ジェフリーラッシュは圧巻でした。
名優じゃないと出来ない作品に実話の持つパワー。
ジェフリーラッシュも素晴らしいし、若い頃の主人公を演じている役者さんも素晴らしいし、演奏されるピアノもとっても素晴らしい。
この映画のピアノ演奏が良過ぎて実在の主人公ジェフリーラッシュが来日した際のピアノコンサートにも行ってしまったくらいです。
一度は観て欲しい作品です。
名作を再び鑑賞
20年以上前に観た作品を再び見ました。
今更ながらで主人公を演じる成人役のジェフリー・ラッシュより子役の方が演技がお上手のように見えます。
鑑定士と顔のない依頼人での演技は最高でしたけどね。
心温まる音楽映画。アカデミー主演男優賞のジェフリー・ラッシュより若...
心温まる音楽映画。アカデミー主演男優賞のジェフリー・ラッシュより若き日のディヴィトを演じたノラ・テイラーの演技の方が際立っていた。
David Shines
"to survive undamaged."
天才ピアニストの半生。
題材となった御本人の協力があったということは、内容的に納得されているbiographyなのでしょう。
今風に言う猛毒親父の支配的な愛情と独善主義、勝たなければ意味がないといった価値観の植え付けにより、追い込まれ精神を病む主人公から発せられる強迫観念が痛々しいです。成人になった彼の、非常に聞き取りにくい言葉に周囲が耳を貸すのは、子供そのものの純粋さと無邪気さに混ざって、その中に人生の真実が含まれているからなのでしょう。ライバルの成功を妬む所か絶賛し、周囲を分け隔て無く愛しています。精神を病んでも、彼の純真な心は"undamaged"です。最後は泣けました。
"Whiplash"のような鬼教官は出て来ないけれど、情熱的な演奏には、ある種の狂気が必要なのかと。
デヴィッドは父に求められピアノを弾いてきた。熱心な指導者にも恵まれ...
デヴィッドは父に求められピアノを弾いてきた。熱心な指導者にも恵まれ腕に磨きをかけ、周りからは愛される存在になった。
彼にとっての音楽は。。。
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