ジェイコブス・ラダー(1990)のレビュー・感想・評価
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陰影ある映像と音楽で、振り切った愛の形にこだわったライン監督には珍...
陰影ある映像と音楽で、振り切った愛の形にこだわったライン監督には珍しい、ホラーテイストのサスペンス。ジャンル的には86年「プラトーン」からのベトナム反戦ものの系列だが、陰謀論とゴア描写の組合せが本作の妙味。「ゴースト ニューヨークの幻」ルービンの脚本は、70年代の荒れた大都会で、幻覚に悩む帰還兵を描き、内面をねっちりと浮かび上がらせる。彼が何度も目撃する、痙攣するようにブルブルと頭部を震わせる異形人間の造形は、その後あらゆる映画の恐怖シーンにコピーされ続けている。
主演ティム・ロビンスは次々に襲ってくる悪夢に、195cmの長身ながら怯え、叫び、逃げ回るだけで、「ショーシャンクの空に」の希望を捨てない主人公とは正反対のキャラクター設定になっているのも面白い。
ヤコブの階段、異邦人、エックハルトなど、それっぽいキーワードは余り気にせず、メンタルに響くグロさと、幼いカルキン少年の愛らしさを楽しもう。
鑑賞後に考察や解説を見て衝撃を覚えた
まず観てない人はネタバレを含むので絶対このレビューを見ないように。。
始まりはホラー映画を観たいと思いTSUTAYAのホラー映画コーナーを見ていた時にタイトル名だけ知っていたこの作品に出会い借りたこと。名前だけ知っていたが内容は全く知らなかったので飛びっきりに怖いホラー要素を期待していたが悉く裏切られた。確かに作品中には、異形の化け物・狂気に満ちた精神病院・突然のグロ描写、といったような沢山の怖い要素はあったが、ラストにて内容とタイトルの両方の伏線が回収されたところまでを観たときにこれはホラー映画なんかじゃないと悟った。そしてまだ自分の中ではっきりとしない部分があったので、気になってネットで詳解な解説や考察をしている記事を見つけ衝撃を受けた。
内容を要約すると、主人公のジェイコブはベトナム戦争の描写のところで死んでいることになっており、物語のほとんどはジェイコブが戦場や病床で生死の境目を彷徨っている時にみていた妄想なのである。ここまで聞くと「物語のほとんどは主人公の妄想でした!」ってオチのどんでん返し系かと思う人もいるだろうが(自分含めてだが…)それは全くもって物語の本質を理解していないことになる。実は物語の大部分を占める主人公の妄想の中の出来事は、旧約聖書の「ヤコブの梯子」と言う話をモチーフにしているとされている描写が沢山含まれている。ヤコブの梯子は、創世記内でヤコブが見た天使が上り下りする階段で、天国と地上を繋いでいるものである。つまりこの物語の大部分を占めるジェイコブの妄想には、幸せな場面と悲劇的な場面が入り混じっており、正に「ヤコブの梯子」を表している。そしてタイトルの「ジェイコブス・ラダー」についてだが、「ヤコブの梯子」をローマ字表記すると、「Jacob's Ladder」となりタイトルは正に「ヤコブの梯子」そのものであることがわかるのだ。さらに、後半で矯正師のルイが言った、
「冷静に死を受け止めれば、悪魔は天使となり人間を地上から解放する」と言う発言こそがこの作品の本質であるとされている。というのも主人公が死を受け入れ、死んだ息子と一緒に光がさす階段を登るという部分は正にルイの言ったことを体現しているからだ。
どうだっただろうか。ほとんどネット上の理解力があり博識のある解説者の方が書いた記事を引用しただけになってしまったが、「この映画そんな深かったのかよ!」などと思ったのではないだろうか。自分もいかにもその1人であるのだが…
鮮明に記憶に残っている映画
今見たらどういう感想なのかはわからないけれど、映画が終わって立ち上がる時にものすごい満足感があった事をよく覚えている。
ベトナム戦争というものを 精神面からも現実の肉体面からも非常に高度なやり方で表現した作品だと思った。
どういう意味?
と言って整合性を求める人には面白くはないかもしれない。
一緒に行った夫は
全然面白くなかった 意味がわからなかった
と言っていた。
ヤコブの梯子
戦争に従軍したジェイコブは銃剣で腹を刺されたと思った時、地下鉄で目を覚ます。やがて周りでは不自然なことが起き始め…。
90年代の異質映画を再鑑賞。現実と非現実がごっちゃになる異様なプロットでありながらラストは救われたような絶望のような複雑な気持ちになる。
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