「貧民街を舞台にした、生命力溢れた楽しいオペレッタ映画」三文オペラ(1931) Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0貧民街を舞台にした、生命力溢れた楽しいオペレッタ映画

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ロンドンのソーホー街を舞台にした、ブレヒト台本のクルト・ヴァイル音楽でG・W・パプスト監督の楽しいオペレッタ映画。ギャングの親分の主人公メッキー・メッサーが、勢力争いで敵視し合う乞食の親分ビーチャムのひとり娘ポリーに一目惚れすることから物語が始まる。そこにメッキーの戦友付き合いからの親友で警察署長のブラウンが加わり、次から次へと話が展開していく。下級市民の機知と度胸が貧民街の暗鬱さを払い除けて、強かな生命力に溢れたおとぎ話風な世界観が面白い。聖十字架祭とそれを妨害する乞食の群衆の対比にある、社会批評の深刻さも併せ持つが、ヴァイルの音楽の楽しさが上回る。ドイツ映画の美点が詰まった傑作。

Gustav