劇場公開日 1950年5月9日

「マンキーウィッツの〈語り口〉」三人の妻への手紙 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0マンキーウィッツの〈語り口〉

2020年6月11日
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マンキーウィッツ監督は脚本家としても活躍してたらしいので〈台詞〉にこだわりがあり、面白い
そして フラッシュバック、ナレーション(モノローグ)を多用した〈語り口〉で引き込む

三人の妻とその夫、妻達の天敵(?)である謎の美女アディが主要な登場人物

農村出身の優等生美人妻デボラは コンプレックスを抱えている

双子を育てながら ラジオ脚本を書くうちに業界に毒され、拝金主義に走るリタは薄給の教師の夫の転職を画策する
(夫の天職は 教師)

経営者でもある年上の上司の安易な誘いに乗らず
(しかし 誘惑しながら)結婚に漕ぎつけた利口で駆け引き上手な妻ローラ・メイ
この利口さが夫の疑惑も招く
(意外とピュアな夫)

やはり最後のエピソードが一番面白い
演じるリンダ・ダーネルが 色っぽいというか、あだっぽいというか… 華があるし
減らず口も素敵
煙草の吸い方もサマになってる
(もらい煙草ばかりしてる!)
(ダーネルは自宅火災で41才で死亡、煙草の不始末説あり)

彼女のややハスキーな声も素敵だった
(寄越した手紙はアレだが)天敵アディのモノローグは意外とサッパリ、アッサリしてる
(声だけ出演は セレステ・ホルム)

カーク・ダグラスが 理想的な教師の夫を演じており、彼の台詞に監督の本音が見える

リッター・マイヤーの家政婦サディの存在とローラ・メイの揺れる実家が笑わせてくれました
マンキーウィッツがこれでアカデミー賞の 監督賞と脚色賞を獲得したのは 当然のことと思われます

jarinkochie