劇場公開日 1991年3月9日

「終わった…」ゴッドファーザーPARTIII CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0終わった…

2022年7月26日
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鑑賞方法:映画館

みたび、ゴッドファーザーの絶頂から始まるオープニング。ヤクザな稼業の全てを仲間(と言っても他人)に任せ、ローマ法王庁に6億ドル!を融資した見返りに、法王庁が運営に深く関与する名門会社の株を取得し、真っ当な実業家の道を歩み出す。

…などと、都合よく話が進むはずもなく、他のファミリーばかりか法王庁内部の勢力からもさまざまな妨害にあう。枢機卿に懺悔し生まれ変わった気持ちになった主人公だが、周囲の動きはいやがおうにもきな臭く、結局、殺し合いが続く。

なんともやり切れない展開だが、158分(今回の再編集で4分短くなったらしい)は、異様な緊張感を伴いながら過ぎてゆく。この緊張感は、副題を「マイケル・コルレオーネの死」としたことが成功していると思う。(初上映の際には、パラマウント側が却下したと聞くが、今回のデジタルリマスターでは、副題としてちゃんと入ってるね)

観た後で知ったのだが、バチカンにおける金融スキャンダル、ヨハネ・パウロ1世の就任わずかでの不審死(1978年)、ロベルト・カルヴィ暗殺事件(1982年)は全て実在の事件なのね。なんか、史実はこの映画の通りかと信じ込んじゃうよね。すごい作り。実際に、バチカンとイタリア政財界、マフィアの3者の癒着は強烈にあったんだろうな。そうとは知らず、裏街道でない道を求めてそこに行き着いてしまった主人公。ヨーロッパのコングロマリット、そこまで手をつけたファミリーはいない、という主人公の自負をかんがえると、悲劇ではあるが、自業自得としか言えない。

栄華を象徴する "パーティーの華やかさ" は、三部作に貫かれ、今回もそれは見事。その中で主人公が語る「一番の宝は富ではなく、子供だ」というセリフも、終わってみれば、終盤の悲劇の前振りになっていたのか… さらに今回はラストのオペラシーンもある。ただ、オペラシーンは、緊張感ピークの中で過ぎていくから、その豪華さに俺が注目している余裕がない。

「命を狙われたら、子は親を守る。妻や子も守る。だが君は去って行った。何のための闘いだったのか」 たしかに、Ⅲ は、Ⅰ やⅡ と雰囲気がやや異なり、栄華の中でも上のセリフが延々と語られ続ける感じ。だから、三部作の中で人気が若干低いのかな。とはいえ、こういう〆にしたことが、この三部作を名作として世に残したことも確かだと思う。クライムムービーの正しいエンディングだ。シチリアに始まり、シチリアで終わる。

いや、面白かった。ありがとう、ゴッドファーザー。ありがとう、3週連続上映してくれた目黒シネマ。三部作として一気見できたのが、非常によかった。このⅢ だけを単独で観たら、もう少し冷たい評価になってしまったかもしれない。三部作のⅢ として、すごくよい出来と思う。

おまけ
主人公の死は、心の死だったんだね。

おまけ2
Ⅱ から16年後の公開だったのか。そりゃアルパチーノも年齢相応になるわな。というか、その時期まで待って作ったのかな?

CB
トラ吉さんのコメント
2022年11月20日

『三部作のⅢ として、すごくよい出来と思う。』
激しく同意します。
前2作あってのこの作品だし、この作品あってこそゴッドファーザーシリーズが締まったと思います。

トラ吉
talismanさんのコメント
2022年7月26日

三作連続、映画館で見ることできて素晴らしい!私も嬉しいです。

talisman