劇場公開日 1952年10月9日

「お役所仕事が…」生きる(1952) 777さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0お役所仕事が…

2022年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

いわゆる形式的な作業しかしない「お役所仕事」を題材にした映画。
自分自身、市役所の人間には色々失礼な態度を取られた事が多い。
…それはさておき、この映画の主人公で市役所員の「勘治」は、自分が
末期ガンで余命わずかである事実を知ってしまう。 残された時間で、
市役所に抗議の多かった、町にある湿地帯は虫が湧いて困るという住人
からの抗議に応え、その場所を市民の憩いの場「公園」にしようと奔走する。
当然、役所側は、そんな手間と時間と費用の掛かる事業はやりたくない。
暴力団組織まで使って、主人公の活動を抑え込もうとするが、それに彼は
めげない。
詳しくはネタバレになるので書かないが、黒澤明監督の現代ドキュメン
タリータッチで描かれた作品は、作られた後の50年以上経っても、日本の
世の中で何も変わらない構造という物が多い。
ラストで、勘治が生前に最後に作った場所を通りすがる、若い市役所員の
様な、怒りに震えた、日本を変えたい若者が、この国にはまだ多く残って
いると、信じたい…

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