劇場公開日 1987年3月7日

「極めて今日的な作品です 2021年は中国によるチベット侵略併合からちょうど70年の節目なのです 今こそ観るべき映画です」ゴールデン・チャイルド あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0極めて今日的な作品です 2021年は中国によるチベット侵略併合からちょうど70年の節目なのです 今こそ観るべき映画です

2021年9月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

1986年12月公開
この年の全米No.1ヒット映画です

もちろん本作は、痛快でエキゾチックで神秘的なアクションコメディ映画です
しかし、その体裁は偽装で、実際は痛烈にチベット問題について中国を批判することがテーマの作品であるのです

西洋人の姿をしてはいますが、悪魔の化身は中国共産党のことなのです

この偽装によって、中国からのハリウッドへの圧力をかいくぐって製作できたのです
そして、中国が公開当時よりも何倍にも強大になっていてる今日でも私達が鑑賞することができるのです
エディの頭の良さはさすがと思います

真っ正面からチベット問題への批判をすれば、リチャード・ギヤのように中国の差し金やら忖度で、ハリウッドから干されてしまいかねないのですから

あなたはどれだけチベット問題を知っているのでしょうか?

チベットとは、1951年に中国が侵略して併合された中国とは別の民族の歴史ある国であること
中国語ではないチベット語を話す、漢民族とは違うチベット民族の国であり、チベット仏教を熱心に信仰する国であるのです
中国はその国を征服して、70年も抑圧支配してきたということを最低限知って本作を観て欲しいのです

そして、なぜこの1986年の年末に本作が公開されたのでしょうか?
その疑問も持って鑑賞して頂きたいのです

それは中国の国家主席であった胡耀邦がこの1986年9月に失脚したからです

彼はチャイルド共産党の総書記に就任した1980年にチベットを視察して中国のチベット侵略の実態を知り、その誤りを認めて、いわゆる「チベット休養政策」を行った中国の政治指導者だったのです

その政策とは、
チベット語教育を解禁する、信教の自由を保証する、僧院の再建事業に着手する、外国人旅行者にチベットを開放する、というものでした
そんなこと当たり前のことです

しかしその胡耀邦が失脚したことで、これらの政策は撤回されてしまったのです
つまり、本作はそれへの抗議として製作されたというわけです

胡耀邦の後継者は1989年に天安門事件で市民や学生数千人の虐殺を命じた鄧小平でした

天安門事件の少し前、チベット反乱30周年の1989年3月にラサで大きな騒乱が起こり戒厳令がしかれます
西側報道によると80~150名もの死者をだしたようです

そして1995年には、チベット密教伝統の手続きに則り、ダライ・ラマが任命したパンチェン・ラマ11世が強制失踪させられてしまう事件も起こります
現在も消息不明のままです
まさに本作の筋書きそのものではないでしょうか

中国政府はトゥルク(化身ラマ)というゴールデンチャイルドにも政府の認可が必要としているのです

21世紀にはいると、チベットだけでなくウイグルでも一層苛烈な中国の抑圧支配体制が明らかになって来ています

遠い中央線アジアの話?
日本の未来なのかも知れません
自分たちの子供達がチベットやウイグルの人々と同じ地獄に落とされるかも知れないのです

本作ではエディの大活躍で悪魔の化身は滅ぼされます
現実の悪魔の化身がそのようになるのか、それは私達が本作のエディのように活躍できるかにかかっているのです
逆に金儲けの為に悪魔の化身に荷担している日本企業もあるようです

極めて今日的な作品です
2021年は中国によるチベット侵略併合からちょうど70年の節目なのです
本作はチベット侵略併合から35年目の作品
今年2021年は、本作公開から35年目
ちょうど中間だったのです
国際社会は何も力になれなかったという事実です
このままで良いのでしょうか?
今こそ観るべき映画です

あき240