劇場公開日 1967年4月8日

「前作の戦いから10年後という設定の作品」続・荒野の七人 アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前作の戦いから10年後という設定の作品

2023年4月30日
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唯一の直接的な続編です。

制作権利者の1人でもあったブリンナー主演的に、前作から6年も経ってからの制作です。
従って、キャストもスタッフも総入れ替え状態の上、ロケ地も前作のメキシコ(での制約に懲りたこともあって?)からスペインに変わったため、画面から受ける雰囲気が前作とは違った印象を受けます。

七人のメンバーすらもスペイン系が入った混成になっていて、日本人に人気だったロバート・フラー以外はこの当時エイキンズ、オーツ等だと知名度的には弱い印象です。

それでも、”あの続きが観られた“と考えると嫌が上にも心は躍ったものでしたから、それが『続』『新』を一挙に観ることが叶うという夢のような二本立て興行に、初鑑賞当時はその宿願を果たした事による興奮冷めやらず、満足度はとても高かったです。

ポイントしては、前作では集団ものの王道の基礎となったような(のちに同監督の「大脱走」へと昇華する)演出に、主演の存在感が脅かされたブリンナー氏は、今回は2丁拳銃で存在感アピールしたり、原案の『七人の侍』の雨の中の合戦を意識してか雨のシーンを取り入れたり、ダイナマイト使って見せたりと、前作との差別化を図るべく意欲を見せます。

それに引き換え、さらなる続編である併映の『新』の方はキャストもスタッフも完全に別物状態で関連性も主人公がクリスという以外は何もなく、演出や脚本もやや荒削りな印象で、「取り敢えずはシリーズ制覇した」という満足度は満たされた感でした。

その後も、他の名画座での再鑑賞も経て、TVの土曜洋画枠での大幅カット放送(正味60分程度)など、数回の鑑賞機会が有りましたが、その内に前述の評価は逆転して行きました。
なんだか、観るにつれ『新』の方が遥かに好きになって来て、『続』についてはまあ普通の印象に。

何回か繰り返すうちに『続』の方は、ブリンナーのワンマン映画的に思えてきて、特に前作に比べてクリスが妙に口数が多いと言うか「なんだか(誰に対しても)説教がましいくて偉そう」なのが鼻に付く気がしてきたからです。
『新』の方は何度も観ていると、次第に主人公たちへ感情移入してきて、何だか親近感が増す気がしてきたんですね。

このような、自身の中での評価の変化を遂げた2作品という出来事、面白いというか、ある意味感慨深いものを長年の映画鑑賞歴の中で感じました。

以下は蛇足ながら、今作と次作の鑑賞に至るまでの経緯をまとめてみました。

リバイバル上映で観た「荒野の七人」のテーマ曲にハマって上映館だった渋谷パンテオンでパンフレットの横に並べて売られていたサントラ・シングル盤を親にせがんで買ってもらった事がその始まりでした。

その何故だかジャケットが「新荒野の七人」のものだったんです。後で考えたら、恐らく公開迄に、正編仕様の新ジャケットの製造が間に合わなかったんでしょうね。
当時は情報って限られてたので、映画パンフレットやレコードのライナーって有益な情報源でしたから、それこそ穴が開くほど何度も目を通してました。

しかし、映画パンフレットの方には、以降のシリーズの事は何故か余り触れられていなかったのに対して、シングル盤の方にはこの後、続と新の2作品が作られた事が紹介されていて、特に続のほうはモロに人物設定も引き継がれた「あの生き残った三人のその後」になっていると知って、大変興奮して、想像を巡らせたものです。

パンフレットの内容に関しては、正編(初公開・初回リバイバルとも)=松竹系配給なのに対し、続・新=東宝系(日比谷映画など)での公開だった事で、他社配給作品への詳しい言及は避けたのかも知れません。
なにしろリバイバル時の宣伝文句は「あの本物の七人が帰ってきた」ってなってたくらいで(笑)。
初めは、一体なんの事だかワカリマセンでしたけどね。

兎に角、知ってしまった以上、なんとしてもこの2本ある続編を見るという事は、もはや悲願のようなものでした。
その当時は、新聞の映画欄だけが都内の上映館の上映情報だったので、ほぼ日課のように懲りずに毎日チェックしていたものです。
しかし、間も無くそのチャンスはやって来ました。
忘れもしないあの場末の映画館「渋谷パレス座」に於いて。

渋谷西武B館に隣接するかのようなその劇場は、当時は良くあった「期間毎に格落ち映画と”ポルノ映画“が入れ替わりにスケジュールが組まれる映画館」だったので、流石にちょっと怯みました。
因みに、子供が居ようがなんだろうが容赦なく平気で次回予告の”ポルノ映画“をやるんですね。今考えると凄いです、いくらボカシでなんだかわからない状態だったとは言え…..
その後も、そこには観にいく機会は数回有りましたが、いつも毎度映画に付き合わせていた両親にも良い加減に呆れられて、もう自分1人で行ってきなさいとなり「親と同伴じゃ無く1人で」だったので、返って良かったみたいな?
そうじゃなかったら、相当にキマズイ事になるし、それだけではとても済まされない結果に……(笑)

子供でも数百円握りしめて行けば、一人でも映画館入って映画を楽しめたあの頃(殆どの子はそんな事しませんけど)、まあ、ある意味スゴイ(良き)時代でした。

アンディ・ロビンソン