劇場公開日 1996年7月13日

「思ってたより…」KIDS(1995) ジンジャー・ベイカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0思ってたより…

2018年2月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

よくファッションデザイナーなどが影響を受けた映画として本作を挙げることが多く、かなり前から気になっていたのでDVDを購入し鑑賞。予想以上に生々しい描写で驚いた。
ストーリーは単純で、HIVが流行した時代で若者が性行為と薬物乱用を繰り返すというもの。
まず、男のキャラクター全員は頭おかしくてマリファナやってラリって、軽い犯罪も犯しながら、頭は性行為のことしか考えていないってことだけが本作を通して伝わる。そこには人間関係のいざこざも特に無く、HIVってものが影に潜むってことだけが描かれる。
その性行為の描写と小さい子供が薬物をやってる描写から、現代ならコンプライアンス的に絶対に製作できない映画だと感じた。
本作は製作総指揮がガス・ヴァン・サントってこともあって、事実を綴ったドキュメンタリー映画と捉えれば、「エレファント」に似ているのかもしれないが、あの映画からは何かしらキャラクターの感情の変化が汲み取れたし、何しろ演出にこだわりを感じた。その点、本作は若者が欲望によって堕落した生活を送っているのを描いてるに過ぎない。
ただ、このような映画は今まで見たことも無かったし、若者の生態をリアリティを追求して描いているという点では評価するべきなのかもしれない。よって、評価は完全に分かれるように思える。
ファッション関係者が本作を評価するのは、ストリートファッションの根源が本作に出てくるような若者たちであり、彼らの自由で自然な生き方とマインドに何かしらの共感とリスペクトがあるからであろう。
正直、本作を見て映画を鑑賞したという気分にはなれないが、80分を通してユースカルチャーを学ぶという考え方をすれば悪くは無いのかもしれない。

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ジンジャー・ベイカー