劇場公開日 2018年7月21日

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「影との戦い」仮面 ペルソナ ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0影との戦い

2021年9月18日
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おもしろかった…
これまで観たベルイマン作品はふつうの劇映画の体裁を保っていたので、今作では冒頭から度肝を抜かれた。
え? 実験映画だったの?

一見脈絡のなさそうな映像の連続は「リング」の呪いのビデオに通じるものがあって単純に不気味で恐ろしい。
シンプルな構成の音楽もJホラーみがある。
私はあのイメージはエリーサベットの自分が引き裂かれていく感じ、混乱を象徴しているのかなと解釈した。
リマスター版だったのか、Amazonプライムなのに映像がものすごく鮮明。

もし高校か大学生の頃に観ていたら間違いなく忘れられない作品だったと思う。
中年になった今でも充分目の醒めるようなインパクトがあった。
しゅごい。。こんなものがプレイリストにさらっと並んでていいのだろうか。取扱い注意の劇薬じゃないのか。

内面に問題を抱えた俳優が主人公の映画というとほかに「オープニングナイト」とか「バードマン」が思い浮かぶ。どれも不思議と惹きつけられる作品。
大きなプレッシャーとともに人から見られる自分との乖離に苦しめられる、みたいなことが自分には刺さるのかも知れない。
あとは他者と自分の境目が弱くなって混ざり合ってしまうこととか。
あとはちょっと「イヴの総て」を思い出した。「マルホランドドライブ」は絶対影響受けてるだろうな。

夫との場面は何だったんだ、夢オチ? と思ったけど、他の方が書かれているようにラストシーンから影との戦いと解釈すれば腑に落ちる。

ごく局所的にではあるけど、アルマとエリーサベットのような経験は実際にあるし、そういういろいろな記憶のフタが開くような刺激的な作品だった。

登場人物やシチュエーションは少ないにせよ、これを83分という呎で語れる映像的手腕がすごい。無駄がないので退屈する暇もなかった。
3時間とか使わなくてもこんなに雄弁に語れて、そのうえ今見てもびっくりするほど新鮮で生々しい。
これが54年前の作品?
すごく可能性と希望を感じるので監督志望の人は全員見てほしいし、キャスト2人とも気迫がすごいので評価されてほしい。。(今ごろ)

ipxqi