劇場公開日 1947年6月

「【”屋根裏の散歩者。”全編に漂う若き美しい夫人を精神的に悩ますガス燈の仄暗くなるシーンや彼女の夫になった男の不可思議なる行動る、言動に魅入られるサスペンスミステリー作品。】」ガス燈 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”屋根裏の散歩者。”全編に漂う若き美しい夫人を精神的に悩ますガス燈の仄暗くなるシーンや彼女の夫になった男の不可思議なる行動る、言動に魅入られるサスペンスミステリー作品。】

2024年1月19日
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鑑賞方法:VOD

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■ロンドンのソーントン広場。人気歌手だった叔母アリスが何者かに殺され、その遺産を相続したポーラ(イングリッド・バーグマン)は、留学先で知り合った音楽家のグレゴリー(シャルル・ボワイエ)と結婚する。
 二人は亡き叔母の家で暮らし始めるが、やがてグレゴリーはポーラの物忘れの激しさを指摘。ポーラは次第に不安と焦燥感に苛まれて行き精神的に不安定になっていく。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・最序盤の男が女性を襲う影絵のシーンから、物語の流れが何となく予想できてしまったが、そのまま鑑賞。

・若きイングリッド・バーグマン演じるポーラが、愛していた人気歌手だった叔母アリスの死体を発見した事が冒頭で、ナレーションで語られる。
ー で、観る側は彼女のトラウマと、彼女が神経症ではないかという思いに捕らわれる。-

・ポーラに近づいて来た留学先で知り合った音楽家のグレゴリーは、最初は彼女に優しく接するが、徐々に彼女の物忘れ癖などをさり気無く指摘し、彼女を精神的に追い込んでいく。

■だが、迷宮入りになっていたアリスの殺人事件を密かに探っていたブライアン・キャメロン警部(ジョセフ・コットン)
 彼は、幼い時から人気歌手だったアリスのファンであり、彼女の手袋の片方を貰っていた事が、劇中さり気無く語られる。巧いなあ・・。

・後半、グレゴリーがドンドンポーラを精神的に追い詰めて行く姿。
ー 手伝いのナンシーなどの姿などが、観ている側を惑わせるが、彼女が付き合っていたのはブライアン・キャメロン警部の配下の警官であった。

■再後半、グレゴリーがポーラに近づいた理由が明らかになるシーン。彼はアリスを殺害した際に、取ろうとしていた宝石を幼かったポーラが物音に気付き、三階から降りてきた事で目標を達成していなかったのである。

<今作は、徹頭徹尾、全編に亙る不穏な雰囲気が漂う中、叔母を殺された若き女性ポーラが真実に気づく姿と共に、ポーラを演じた若きイングリッド・バーグマンの精神病的な心を抱えた女性を演じる姿が、印象的な逸品である。
 ガス燈というタイトルも、秀逸であると思った作品でもある。>

NOBU