劇場公開日 2000年4月29日

「人間の内面を探索したペドロ・アルモドバルの傑作」オール・アバウト・マイ・マザー Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間の内面を探索したペドロ・アルモドバルの傑作

2022年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

男女の性差のモラルを超越して、改めて母親としての存在に焦点を絞り、見事に人間賛歌の境地に至った傑作。スペイン映画に新しい才能を見せるペドロ・アルモドバル監督の演出に驚きながら、良い映画を観た感動に浸れる。登場人物が次から次へと舞台を変え、衣装を変え、内面が変化していく複雑なストーリーながら、どのシーンにおいても確り人間が描かれている。これほど曖昧な表現がない映画も珍しい。「イブの総て」「欲望という名の電車」といった映画・舞台のモチーフの活かし方も巧い。演技についての素養の高いヨーロッパ文化の、このスペイン映画の個性的な演出が新鮮でもあり、とても感心してしまった。

Gustav