劇場公開日 2014年9月27日

「複雑な関係を簡潔に提示」駅馬車(1939) 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0複雑な関係を簡潔に提示

2022年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1939年。ジョン・フォード監督。アパッチ襲撃が噂される中、目的地目指して進む駅馬車。多様な背景とそれぞれの関係を持った乗客たちが襲撃に恐怖にさらされながら進む西部劇の名作。誰かがやってきて始まり、走り去って終わる。「ジョン・フォード論」刊行記念で見返してみたが、また感動してしまった。
南北戦争の余波をひきずる北部と南部の対立、酒と娼婦と博打への蔑視と差別、復讐と正義、若者へのまなざし。様々な思いが絡み合って盛りだくさんの人間関係の物語が見事に画面に収まっている。赤ちゃん誕生で一時的に和解する男たちとしかしまたすぐに始まる諍い。現在、多様性だとサステイナビリティだのが時代の合言葉になっているが、この映画に描かれた驚くべき多様性を見よ。これが80年以上前に撮られた映画とは。
馬車の屋根から見下ろすカットがこんなにあったのかと驚き。特に川のなかへ進む場面での迫力は満点。

文字読み