劇場公開日 2020年2月1日

「ワイルドでいこう!でも、過ぎると排除されるぜ!」イージー★ライダー kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ワイルドでいこう!でも、過ぎると排除されるぜ!

2021年7月4日
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鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭11にて
アメリカン・ニューシネマの代表各に位置するカルトムービー。
ロードムービーでもあり、音楽映画でもある。

ピーター・フォンダが製作、デニス・ホッパーが監督となったイキサツは知らないが、ジャック・ニコルソンを加えた3人 は、ロジャー・コーマンのB級映画出演を契機に意気投合した仲だという。
しかし、撮影中から編集騒動までモメた逸話しか聞かれない。まぁ、そういう話が面白いからだろうけれど。

フルメッキのハーレーを駆ってグランドキャニオンを背景に荒野を走る颯爽とした様、道中何度となく野宿する場面など、ピーター・フォンダが望んだ現代版西部劇というコンセプトは所々に見られる。
オープニングで登場するメキシコ人麻薬売人の根城などは正に西部劇調だった。

だが、活劇ではない。物語らしい物語はなく、起承転結もない。
説明を排除していて、言ってしまえば意味不明の場面が展開していく。
ヒッピー、ドラッグ、閉鎖的な人々…自由の国アメリカは、本当に自由な人間を受け入れることができないのだった。

町の男たちはヒッピーを忌み嫌うが、若い女たちは興味津々なのが可笑しい。
不条理に襲撃に合ってジョージ(ニコルソン)が命を落としても、ワイアット(フォンダ)とビリー(ホッパー)は復讐も告発もしない。
悲嘆にくれた二人は、娼婦を買ってLSDでトリップする。この幻覚の場面が秀逸だ。
そして、唐突なエンディングである。
農夫らしきトラックの男は、なぜ本当に撃ったのか?
倒れたビリーを見たワイアットはトラックを追って何をしようとしたのか?
そして、トラックはなぜ引き返したのか?
唐突かつなぞの多いラストではあるが、映画史に残るラストシーンだ。

自分が好きなシーンは2つ
①空港脇の路上で麻薬を受け渡すシーン…
目の前の滑走路に向かって航空機が頭上を降下していくたびに、頭を下げて避けようとするのが滑稽だ。
②パンクを修理するため農家の納屋を借りるシーン…
馬の蹄を手入れする農民とバイクのタイヤを修理する主人公たちをひとつのフレームに収めて印象的だ。マルチフォーカスだったような気がする。

kazz
かせさんさんのコメント
2023年4月17日

ステッペンウルフのあの曲が、耳の奥に蘇ります。
見た感想はアメリカンニューシネマだなあ、でしたけれど。

かせさん