劇場公開日 2020年7月31日

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甘い生活のレビュー・感想・評価

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4.0ローマ上空を飛ぶキリスト像から海辺に打ち上げられた怪魚まで、フェリーニの映像マジックが炸裂する逸品

2020年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

生誕100年を迎えたフェリーニの代表作。ローマの大通りに集いし豪華セレブやパパラッチ、それを取りまく野次馬たちを配しながら7つのエピソードが紡がれる。その中心にはマストロヤンニ演じる新聞記者。彼の目を通して描かれるこれらの出来事は、すべて当時のタブロイド紙を賑わせた実際の事件が基になっているそうだ。ストーリーとしての繋がりはないものの、時代の流れや社会の蠢きを大局的に活写しようとした壮大な目論見がうかがえる。

冒頭、キリスト像がヘリで吊り下げられながらローマ上空を寺院まで飛行する描写であっけにとられ、中盤の「マリア様を見た!」という少女たちとそれにあやかろうとする野次馬たちの一大騒動、それからトレヴィの泉で戯れる女優と主人公、さらには浜辺に打ち上げられる怪魚の描写に至るまで、幻想的で視覚的な面白さはとどまるところを知らない。フェリーニが映像の魔術師と呼ばれた所以を存分に堪能できる傑作だ。

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牛津厚信

2.5皮肉なタイトル

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

ごめんなさい。
何本かフェリーニは観てるのですが
私とは合わないようです。

主人公が退廃的で夢を感じない享楽的な生活に
うんざるするのと一緒に
私も倦んでしまった。

言いたいこともわかる。
そしていつも映像はきれいだ。
陰気な役の女性でさえ、
おおらかな太陽のような印象を私は受けて、
魅力的だと思います。

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こまめぞう

3.5

2023年6月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

私達は本当に上流階級に憧れているのか、それともメディアによって憧れさせられているのか、そんなことを思いました。上流階級の退廃は、いつの時代でも普遍的なことですね。

1960年代の作品はほとんど鑑賞できていないので何とも言えないのですが、フェリーニ作品はいつもどこか幻想的に感じます。作品中の狂乱も幻に思えたのですが、生きているのが幻なのか、虚構なのか、分からなくなりました。

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ミカ

5.0不毛な生き方だから魅力的な映画になる。

2023年4月2日
PCから投稿

ゴシップ紙の記者というパパラッチの片棒である主人公は、庶民から上流社会の人々と付き合う。夜のローマ、恋人、愛人、海辺のこと、父との関係、友人、殺人、その全てが退廃していく。キリストはなぜ答えない。風貌の変わった主人公は、あの海辺で再開した少女の言葉さえ聞き取れなくなる。波の音が強い。それでいい。男は変わった。

物語は幻想的であり現実的でもある。
フェリーニは何を描きたかったのか
はっきりとは分からないが
「崩れてゆく何か、見えない何か」
何度観ても答えはそこになる。

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星組

3.0頽廃。 いろんな女と浮き名を流す記者が主人公。ちょこちょこ話はある...

2023年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

頽廃。
いろんな女と浮き名を流す記者が主人公。ちょこちょこ話はあるが、どれもこれも面白くない。
・突如始まるマリア騒動。なんだった?
・父親騒動。これもまたなんだった?
・ラスト間際の乱交パーティー。危険。日本人もこの感覚で多数がレイプ被害に。もはや見ていて虫唾が…
ところどころにぶち込まれるセックスの話題。これが芸術というなら、私にはちょっとわかりませんね(笑)イタリアもフランスと似た感覚ですかね。互いの国民たちはあまりよく思ってないらしい(どっかで聞いた)のが面白いですね。

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はむひろみ

5.0面白かった

2020年10月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

初見時は大学生で、アニタ・エクバーグのシーンが終了してすぐに寝落ちしたため、後半を見るのはは今日が初めて。
上流階級連中の頭が痛くなるような乱痴気騒ぎシーンや、何かにつけパパラッチが群がる場面が、勘弁してくれと叫びたくなるほどしつこく描かれるが、一転、静かな美しいシーンで我に帰る緩急のバランスが良い。
主演級以外の脇役の女優たちが皆個性的でとても良かった。特にマルチェロの父親と仲良くなるダンサーの人が素敵。父が突然訪ねてきて、一晩過ごし故郷に帰るまでのシーンがとても良かった。
フェリーニが同時代のイタリア社会についてリアルに掘り下げて描くような作品としては、これが集大成だったのかなと思った。

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どんぐり

4.0毎日が忙しないのに極めて退屈、どこまで進んでも希望がない

2020年8月4日
iPhoneアプリから投稿

おそらく、前知識一切なしで映画に詳しくもない人間にこの作品を見せたなら、長くて退屈で中身がない映画だ、と一蹴してしまうことだろう。
一方では、何十回も観続ける人間もいるだろう。
そのくらいに映画リテラシーが試される作品ではなかろうか?
しかしある意味、それで正解でもある。
ようは資本主義社会の栄華を突き進む新聞記者の日常から、なけなしの夢と希望が失われる、
それだけの話である。
彼の日常は華やかながらも愛がなく、ゆとりもなく、
信念もなく、退廃的な雰囲気に満ち満ちている。
彼は沢山の人と触れ合うが、誰とも絆を確かめられない。彼の唯一の善良さは、小説家への夢である。
それが話が進むに連れて完膚なきまで打ち砕かれる。
信頼していた小説家の不穏すぎる自殺によって、
あらゆる希望を見失う。
この資本主義社会のどこまでいっても満たされないという病理からは、どれほど満たされているように見える人間の奥底からも拭いさることはできない。
どこまでいっても横滑りで、円の周りをぐるぐる回り続ける。
実はこの世こそが地獄で、神曲の如く各シークエンス毎に地獄を巡っていただけなのだと、彼は気がつく。
最後の救いとなる、神曲でいうところの
「ベアトリーチェ」としての海の家の少女。
無垢の象徴である彼女が最後に対岸越しに彼に呼びかけるが、もう彼の耳に少女の声は届かない。
結局彼は最後の救いの手を振り払い、
もといた地獄の中に戻っていく。
主人公が最終的に救われないので、
正直びっくりした。
しかしよく考えれば代表作「道」でも主人公は選択を誤り取り返しのつかなさを噛み締めることになるし、「崖」などでもそうだ、メロドラマとしてのフェリーニに通ずる、そうこれも一種の作家性である。
刹那主義の行末の絶望、圧倒的孤独感、胸が痛くなるような人生の見たくない部分を描き、しかも主人公がそれを見過ごしてしまう。
それは成長譚では決してなく、寓話としての物語である。しかも救いはなにもない。
そんな、フェリーニ的退廃美の究極に位置する作品であるかもしれない。
個人的には、「8 1/2」的なカオティックでシュルリアリスティックだがどこか温かみのあるフェリーニが好みではあるのだが、まぁ本作を経ての行き詰まりから「8 1/2」が誕生し新境地に達する訳であるし、この圧倒的な冷徹さと芸術性、さまざまな象徴を多用する映画作家としてのインテリジェンスは本作が頂点に位置するのではないだろうか?
しかし様々な顔を持つ映画作家である。

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冥土幽太楼

5.0繁栄を享受するローマとジャーナリストのニヒリズムで表現した、文明と幸福の齟齬

2020年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

フェデリコ・フェリーニの名声を決定付けた巨匠の代表作。個人的には、「道」「8½」「アマルコルド」に次ぐ名作。フェリーニ独自のイマジネーションの映像美に、眼に訴える表現の魔力を堪能できる。1960年はローマオリンピックの年であったから、4年後の東京オリンピックで戦後の荒廃した社会から脱却した日本と同じく、近代化された都市ローマが記録されている。その繁栄の恩恵を受けた上流階級の贅沢で退廃的な享楽の場面が、あたかも動くパノラマ写真のように描かれていて圧倒的だ。ネオレアリズモの脚本家から映画監督になったフェリーニは、ここでは全編を貫くストーリーを説明的に構築していない。一貫しているのは、マルチェロ・マストロヤンニ演じる作家志望の新聞記者マルチェロの、乱れた生活から必然の不安気で精気のない暗鬱とした表情だけだ。有名人のゴシップ記事ばかりを追いかける仕事に満足していないマルチェロのどこか投げやりな生き方が、生きている実感を感じさせない。その対比で田舎から息子に会いに来る父親の溌剌とした好々爺も、結局はマルチェロに老いの姿を見せるだけだ。教会でバッハを奏でるステイナーに人生の指針を乞うが、突然の別れが訪れる。聖母様を見たという子供の奇跡に縋る人々の取材では、婚約者エンマが奇跡の樹の枝を握り絞めている。

急激な成長と繁栄の都市ローマの時代の最先端にいるはずの一人のジャーナリストのニヒリズム。贅沢な社交界を身を持って観察して抱く虚しさは、富と名声が全てではないことに過ぎない。それを得たと思われるフェリーニ監督自身の分身がマルチェロであるのだろう。また、ニーノ・ロータの音楽は中世ローマを舞台にした祝祭劇風なメロディーで、主人公マルチェロに寄り添うものではなく、彼の満たされない心をより浮かび上がらせる。この満たされない甘い生活に鞭を打つ自叙伝が、次作「8½」になる。

マルチェロ・マストロヤンニ35歳の美形とアンニュイな表情。アヌーク・エーメ27歳の凛とした気品と毅然とした態度。アニタ・エクバーグ28歳の豊満な肢体と色香漂う仕草に少女の様な声。そして、表情を変えないアラン・キュニーの神秘的な存在感。すべて素晴らしい俳優の演技である。エンマのイヴォンヌ・フルノーの嫉妬深い婚約者のやりきれない表情もいい。ヘリコプターに吊るされたキリスト像がローマ上空を飛来する冒頭から、謎の生物が浜辺に引き上げられる結末まで、イマジネーション豊かな映像を多種多様に表現した映画美術と、そこに蠢く人間の奔放で赤裸々な姿を映し出した演出力に魅せられるフェリーニ監督の傑作である。

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Gustav

3.5主人公の夜遊び記録

2018年12月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

この映画、あらすじによると、退廃したローマ上流社会が描かれてるらしいけど、こういう中身空っぽそうな遊び人ってよくいる。
.
主人公は小説家になる夢やぶれて、ゴシップ記者をやってるから、常に女優やら娼婦やら美女が周りにいて、シーンが変わる事にその美女とイチャイチャ。
.
女の人に至っては、外国人って見分けつきにくいのに、さらに白黒だからこのポスターの金髪の人以外全員同じ顔に見えたし。
.
起承転結とかなく、約3時間ほぼパーティしてる映画です。

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せつこん

3.0観ている時は退屈してたはずが終わってみるとひとつひとつのシーンが印...

2018年9月5日
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鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

観ている時は退屈してたはずが終わってみるとひとつひとつのシーンが印象深い。虚しさが心に残る作品だった。

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tsumumiki

3.0マストロヤンニ♡

2018年9月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

美しくも贅沢な映像しかし長い(^^;

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mamagamasako

2.0長い

2018年5月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

巨匠の名作に敬意を払いたいけど、長くて疲れる。とびとびのエピソードで、終わりのない荒んだ社会を表現したかったのか?

60年も前の評価は、こういう社会風習・文化的なテーマだと陳腐化して着いていけなくなる。スタートとラストは良かったのだけどね。

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Bluetom2020

3.5わが身を照らせ

2015年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

ローマを舞台に今でいうセレブたちの退廃的な日々を描いた作品。作品全体にアンニュイな感じが漂っていて、観ていて気持ちが暗くなっていく感じでしたね。こうやって客観的にこの人たちを見れば、「なんなんだ、こいつらは」とか「虚無的だな」とか、そんな言葉も簡単に言うこともできるんでしょうけど、でもじゃあ、自分はどうかって考えると、まぁこんなにも虚飾にまみれてはいないですけれども、やっぱりこんな無軌道な時間があったりもするんですよね。その意味では、妙に自分に突きつけられる映画だなって気がしました。
ラストシーンは・・・圧巻だったなぁ。物語のすべてを語っているような気がしました。

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チャーリー

2.0無限ループ感

2014年7月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

寝られる

'60カンヌ映画祭グランプリ作品、だそうで…。
ある一定の階層の、退廃的な、出口のないお話なんだろうなぁ、とは感じましたが、疲れていたのか、結構寝ました。

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Nori

5.0フェリーニ、そしてマストロヤンニ

2014年6月30日
スマートフォンから投稿

笑える

知的

難しい

ベルイマンは神を殺す
フェリーニは神とすれ違う人を描く

フェリーニ最高傑作と思います
アンソニークインが演じたあの男と
ネガポジの関係の男をマストロヤンニが演じます
二人とも際どく神とすれ違う

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フィーゴ

2.5派手だけど中身のない虚飾な人

2013年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:50点
ストーリー: 30
キャスト: 70
演出: 60
ビジュアル: 65
音楽: 65

 なんでしょうか、こういうふうに目の前の快楽だけを追及し退廃に身を任せて将来のことなどおざなりにしたい、そんな気持ちもわからないではない。自分の理想とするものが見つからなくて、ここだけは真実とすがっていたものまでも簡単に崩壊して、結局は絶望して軽薄な生活に逃げてそれを続けてしまう。
 それが出来る人はもしかするとかっこいいのかもしれない。理想とは違ってもその分野では認められた存在で、傍目には派手な生活を送る。不安を感じても流されて、破滅するまでは自分を改めはしない。でも多分こういう自分のことが何よりも大好きで人を平気で傷つける虚飾だけの中身の無い人が、私は結局好きではないんだろうな、だから憧れと妬みも少しあるけれどやはり軽蔑もして、見ていて面白い映画だとは思わない。

 物語もはっきりとしなくて、くる日もくる日も延々と芸能界のネタ探しとパーティを続けて、派手だけど流されるままの日常を延々と描くだけ。名優マルチェロ・マストロヤンニはまだ若くて美形ではまっているし、賞もとっている有名作品だし、「異臭を放つ浜辺に打ち揚げられた死んだエイのように腐った彼ら」を比喩的に表現し、浜辺の向こう側にいる純粋な少女との間には溝があり別世界にいるという、文芸的な示唆の価値は少しだけは認める。それでも3時間もだらしのない他人の軽薄な夜遊びを長々と見せられ続けてはひたすら退屈、それが正直な感想。同じことを示唆するにしても、その時間を使ってもうちょっと違う表現や構成は出来なかったものか。

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Cape God