劇場公開日 2020年7月31日

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「派手だけど中身のない虚飾な人」甘い生活 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5派手だけど中身のない虚飾な人

2013年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:50点
ストーリー: 30
キャスト: 70
演出: 60
ビジュアル: 65
音楽: 65

 なんでしょうか、こういうふうに目の前の快楽だけを追及し退廃に身を任せて将来のことなどおざなりにしたい、そんな気持ちもわからないではない。自分の理想とするものが見つからなくて、ここだけは真実とすがっていたものまでも簡単に崩壊して、結局は絶望して軽薄な生活に逃げてそれを続けてしまう。
 それが出来る人はもしかするとかっこいいのかもしれない。理想とは違ってもその分野では認められた存在で、傍目には派手な生活を送る。不安を感じても流されて、破滅するまでは自分を改めはしない。でも多分こういう自分のことが何よりも大好きで人を平気で傷つける虚飾だけの中身の無い人が、私は結局好きではないんだろうな、だから憧れと妬みも少しあるけれどやはり軽蔑もして、見ていて面白い映画だとは思わない。

 物語もはっきりとしなくて、くる日もくる日も延々と芸能界のネタ探しとパーティを続けて、派手だけど流されるままの日常を延々と描くだけ。名優マルチェロ・マストロヤンニはまだ若くて美形ではまっているし、賞もとっている有名作品だし、「異臭を放つ浜辺に打ち揚げられた死んだエイのように腐った彼ら」を比喩的に表現し、浜辺の向こう側にいる純粋な少女との間には溝があり別世界にいるという、文芸的な示唆の価値は少しだけは認める。それでも3時間もだらしのない他人の軽薄な夜遊びを長々と見せられ続けてはひたすら退屈、それが正直な感想。同じことを示唆するにしても、その時間を使ってもうちょっと違う表現や構成は出来なかったものか。

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Cape God