劇場公開日 2006年5月13日

「マガンダンガビ!と無駄に覚えたタガログ語を用いて、フィリピーナのいる店へ飲みに行ってた時代を思い出す。」恋するトマト kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0マガンダンガビ!と無駄に覚えたタガログ語を用いて、フィリピーナのいる店へ飲みに行ってた時代を思い出す。

2019年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 茨城県に限らず嫁不足の農村は多い。都会の生活に疲れたと言ってやってくる嫁候補だって実際の農家の生活を体験すれば逃げ出したくなるのでしょう。映画の舞台もその一つ、世話好きそうな藤岡弘がダンスパーティに積極的だったり、諦めムードの村田雄浩がいたり、農家がよく似合う大地康雄が富田靖子に果敢にアプローチしたり・・・結局、富田靖子の縁談はまとまらずに、フィリピンパブで出会ったリバティ(ルビー・モレノ)ととんとん拍子に話が進みフィリピンまで行き、結婚を承諾してもらい父親に結納金200万を渡してしまう。

 久しぶりに見たルビー・モレノでしたが、彼女は結婚詐欺師でした。野田正男(大地)は彼女を探すけど、そのうち浮浪者と成り果ててマニラを彷徨する。そんな彼を助けたのがフィリピン女性を日本に送り込むブローカーの中田(清水紘治)だったのだ。正男がそのブローカーの仕事に慣れてきた頃、裏の仕事まで手伝わされるようになるが、仕事途中にフィリピンの農村で稲刈りをする家族に出会い、忘れかけていた故郷の畑仕事を思い出すのだった・・・

 この後は典型的なラブストーリーへと発展するのですが、どん底生活と悪の道にも染まりだした男が本当にやりたいことを再認識するまでの波乱万丈ぶりが見事にストライクゾーンに入ってしまいました。そして、貧しいフィリピン農家であっても偽善的な金や物は受け取らないというプライド。大切なのは土と水と太陽なのです。さらに、日本人と結婚することにも過去の戦争の影がつきまとい、全面的には信用できないというフィリピン人の心の奥まで見せてくれました。

 ベタな展開だというのに号泣です。主演の大地康雄が構想から10年を経て企画、脚本、製作総指揮をもつとめるという熱の入れようは嘘ではありませんでした。農家の方がご覧になると、辛い現実を突きつけられるだけなのかもしれませんが、むしろ農家以外の方にオススメです。将来、家庭菜園したくなるかも・・・

kossy