劇場公開日 2005年1月15日

「主人公の谷口知華を4人の女優が演ずるという4章立ての映画」またの日の知華 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0主人公の谷口知華を4人の女優が演ずるという4章立ての映画

2020年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 事件など時代を象徴する重大ニュースの映像が所々映し出される。『ゆきゆきて、神軍』や『全身小説家』などのドキュメンタリー映画の鬼才原一男監督初の劇映画です。監督が60年代に青春時代を過ごしたことを考慮に入れると、彼自身が全共闘に参加できなかったとか、ノンポリの傍観者的立場であったことも想像できるくらいに、70年代を回顧し憧憬を抱いていると感じました。

 男が変われば女性の印象も変わるといった手法らしいのですが、見終わってしばらくすると違和感がまったくなくなります。新婚・教師時代、不倫した時代、過激派に加わったかつての生徒との再会、前科者の男にのめり込んだ時代と、一挙に転落していく波乱万丈人生。そして、平和を目指した全共闘から過激派へと変貌を遂げた若者とがオーバーラップし、4つのストーリーが見事に絡み合っていった。

 田辺誠一が2、3、4章と登場したため、男からの視点というよりも人生の浮き沈みそのものが違った女性を感じさせてしまうのが難点だろうか。そして、細かな台詞もリアリティが無く、生きた会話じゃないと感じ、。むしろ、それぞれの女優の表情や仕草の演出の方が冴えていて、裏の背景を想像させるほど説明的な部分は少なくなっています。

 正直言って、ラストは眠ってしまって、吉岡秀隆を見ていません・・・いいエピローグだという噂なのですが・・・無念。

【2005年4月映画館にて】

kossy