劇場公開日 2005年8月27日

「「なんばしょっとか~乙女よ!父チャン、情けなかぁ~」という、武田鉄矢の説教が聞こえてきそうな映画」さよならみどりちゃん kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「なんばしょっとか~乙女よ!父チャン、情けなかぁ~」という、武田鉄矢の説教が聞こえてきそうな映画

2022年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 星野真里といえば、どうしても「3年B組金八先生」の金八娘というイメージが沁みついてしまっている。その娘がとうとう脱いで、大胆なセックスシーンを演じてしまうのです。これはもう星野真里のための映画。だらしなくて、軽すぎる男の西島秀俊はあくまでも添え物にしか思えないくらいだ。

 リアルで切ない恋愛映画といえば聞こえがいいが、普通にドロドロした恋愛の修羅場なのである。それを主人公のOLゆうこ(星野真里)が一途な愛を信じてるがゆえに、醜い争いごともなくドラマの枠に収まっている。脚本における会話のキャッチボールがとても自然で、星野真里の多彩な表情とともに揺れる心が伝わってくる。ただ、なぜこの男を好きになったのかという点だけは不明だ・・・

 女好きのダメ男ぶりは「狙った女には必ず言う」という台詞や、「真希を狙ってる」「真希と寝た、処女だったよ」などと平気でゆうこに告げるところに表れる。雰囲気はソープ嬢のヒモのようなのだ。ここに坂本金八が登場すれば、男を殴って娘を連れ帰るところだろう。そういった大人が存在しないことが恋愛の不条理さを増幅する。唯一の救いは、バイト先のスナックの客たちだけだ。歌が下手くそな客は優越感を生んだのか、仲間意識を育んだのか・・・ユーミンの「14番目の月」を歌う姿で清々しくなれるものの、普通の大人になれるかどうか心配になってしまう。

 「俺の妹かもしれない」などの伏線も活かせ切れず、「みどりという彼女がいる」と宣言したことの真意も不明のまま。ストーリーもそれほどダイナミクスを感じられないのですが、疾走シーンや大胆演技の星野真里の魅力によって満足のいくものとなりました。

【2005年11月映画館にて】

kossy