劇場公開日 2004年11月20日

「映像と心情描写」雲のむこう、約束の場所 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5映像と心情描写

2018年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

総合65点 ( ストーリー:20点|キャスト:70点|演出:85点|ビジュアル:80点|音楽:65点 )

 前作『ほしのこえ』を発展させたような作品。

 沢渡佐由理役の南里侑香の声が良かった。突然彼女が消えたことで全てを忘れるために何もかも投げ出して東京に逃げて、その後は命懸けで彼女のために飛んだ主人公の藤沢の寂しさ・喪失感・悲しさがしんみりと伝わる純文学のような表現が印象深い。
 映像の美しさはもちろんだが、ちょっとした描写や切り取ったような風景の使い方が感情を表す演出が抜群に上手い。これも芸術的な雰囲気が漂う。

 反面、前作の『ほしのこえ』と同様に設定と物語は駄目。説明不足でわかりくにいし、現実感がないし、はっきり言って無茶苦茶です。中学生の内職の給与と技術で飛行機が作れる時点でかなり異常。三人の関係と何が起きてどうなったのかを描かない物語も良くない。
 こんな大袈裟な話にして破綻してまとまりがないようなことにしなくても、もっとありきたりな小さな物語で人の心を描くことは出来るはず。そのあたりを向上させるには次回作『秒速5センチメートル』まで待たねばならない。

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Cape God