劇場公開日 1977年12月

「婚前旅行になっちゃった令嬢の脱走劇のコメディ」或る夜の出来事(1934) Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0婚前旅行になっちゃった令嬢の脱走劇のコメディ

2020年5月9日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

「オペラ・ハット」「わが家の楽園」「スミス都へ行く」「群衆」「毒薬と老嬢」「素晴らしき哉、人生!」と名品ばかりのフランク・キャプラ監督の最高傑作。戦後アメリカ映画の「ローマの休日」「卒業」を連想させる点でも、古き良きアメリカ映画の健全なスクリューボール・コメディを代表する作品でもある。ジョン・フォード監督は、淀川長治氏のインタビューで最も好きなアメリカ映画監督にフランク・キャプラを挙げました。キャプラの清潔で洗練されたユーモアに一目置いていたことが窺われます。(私はフォード、キャプラ、クレール、ルビッチのユーモアが大好きです)クラーク・ゲーブルの「風と共に去りぬ」のバトラー役とは真逆の新聞記者役のナイスガイ振りの演技力と、クローデット・コルベールの”おきゃん”な令嬢役の可愛らしさも特筆ものです。予想できない展開を繰り広げるロバート・リスキンの名脚本が、ふたりの好感度高い名演で生かされ、更にキャプラ演出で息の合った台詞の掛け合いを見せます。印象に残るシーンは、空腹でちっちゃなニンジンを分け合い食べるところ。ここで二人の感情が変化していくのを表現しています。また、コルベールの父親が故意にゲーブルに詰め寄るところもいい。脚本・演出・演技の最良のバランスの結晶が生んだ、完成されたコメディ映画。

Gustav