劇場公開日 1968年12月16日

「高度経済成長期が舞台だが、ここに描かれている社会問題は50数年経った現代でも根本的に変わっていない。時代に関係なく人間社会が宿命的に持たざるを得ない問題なのか…令和の若者たちはどう感じ考えるだろう…」若者たち もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0高度経済成長期が舞台だが、ここに描かれている社会問題は50数年経った現代でも根本的に変わっていない。時代に関係なく人間社会が宿命的に持たざるを得ない問題なのか…令和の若者たちはどう感じ考えるだろう…

2022年6月6日
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鑑賞方法:VOD

①お気楽な大学生だったけれど現代社会の矛盾とか問題とか結構真剣に考えていたなぁ。就職して仕事の忙しさにいつの間にか流されてしまったけれど。定年過ぎたけどまた当時の熱さを思い出した。②本当に良く出来ているのはオリジナルのTVドラマの方。ドラマの初め部分をリメイクしているのでやや軽めの作り。③長男と次男とは高等経済成長を支えたブルーカラー。長女もやはり女工(死語かな)として靴工場で働いている。三男は頭が良いということで長男と次男とが働いた金で進学した大学生。時代が学生運動盛んな時代の為どうしても理想主義(正論ではあるんだけど)に走り、兄弟を育てるために理不尽な事や矛盾と妥協して我慢して働いて来た現実的な長男と事あるごとにぶつかってしまう(私も父親とぶつかりましたね。)末っ子の四男は受験生。それぞれがそれぞれの境遇で当時の若者たちが直面している問題にぶつかり、悩み、時には乗り越え、時には挫折する姿を描いた物語。④どんぶり飯をガツガツ食うシーンに続いて(どんぶり飯をガツガツ食うのが若者の象徴みたいな時代だったんだね)、もーれつな兄弟喧嘩のシーンから始まる。一つ屋根の下に住んでいても個室なんてないしプライバシーもなく、お互い言いたいことを言い合って取っ組み合いの喧嘩も辞さない。もう令和では見られない光景(平成でもそうか)。⑤俳優座協力の映画なので、ベテラン・若手併せて俳優座の役者が多く出演。栗原小巻も若くてまだ頬が丸い。⑥小川真由美も若っ!長男(田中邦衛)が好きになる女性役だが、好きな男に他の女(重役の娘)に鞍替えされた経験から、男を選ぶ目が打算的になってしまったということを自己嫌悪を漂わせながら自嘲的にだが覚悟を持って長男に告白して去っていく女性の複雑な心理を若いながら好演している。

もーさん