陸軍中野学校 雲一号指令

劇場公開日:

解説

「複雑な彼」の長谷川公之がシナリオを執筆、「ほんだら捕物帖」の森一生が監督したシリーズ第二作目。撮影は「若親分乗り込む」の今井ひろし。

1966年製作/80分/日本
原題:Assignment Cloud
配給:大映
劇場公開日:1966年9月17日

ストーリー

大型軍用船が、神戸出港後、謎の爆沈をとげるといった怪事件が相次いで起り、中野学校に事件解決の命令「雲一号指令」が下ったため、椎名と杉本が捜査することになった。杉本は神戸港の警備員に潜り込み、椎名は神戸を中心として発生する怪電波の行方を追った。夜警に入ってから十日目。杉本は元川という夜警倉庫係を怪しいと睨み、それを聞いた椎名は元川を徹底的に尾行した。元川は元町の売れっ子芸者梅香と逢ったり、上海にある親日新聞、黎明日報の神戸駐在員佐々木と逢ったりしていた。佐々木は椎名の大学時代の同級であった。厳重な警備をひいたにもかかわらずまたもや軍用船が爆沈された。ある夜杉本は元川が軍需物資を保管している倉庫に入ったのを見届けた。荷物に細工している元川を制止する杉本。逃げ出した元川は追いつめられ自爆する。元川は荷物に強力な時限爆弾を仕掛けようとしていたのであった。憲兵隊の西田大尉は椎名たちの不手際を責める。梅香と佐々木たちは新たなスパイ活動を始め、新造船の設計図の写しを海外に持ち出そうとするも、運び屋が憲兵隊に逮捕される。逮捕された佐々木を椎名が自白するように諭すが無駄であった。佐々木は尋問する西田の隙を見て取調室の窓から飛び降り自殺してしまう。残る梅香を椎名は執拗に追った。梅香には、憲兵隊長の山岡中佐がひどく肩入れをしており、時々、憲兵隊のお座敷にも呼ばれていることを知った椎名は、東京で行われる憲兵隊幹部が集る連絡会議がくさいとにらんだ。その会議の夜、梅香は、憲兵隊副官西田の部屋に入り、西田が風呂に入っている間に、小型カメラで重要書類を撮影する。一部始終を窓から覗く椎名。梅香も風呂に行った隙に椎名はフィルムを盗み出す。中野学校で現像する間に、草薙中佐は椎名に死の瀬戸際にいる母親に会いに行くよう勧めるも、椎名は断る。神戸に戻った椎名は西田に現像した写真と共に事の次第を伝える。信じない西田は椎名を連れて梅香を訪ねる。が、そこで騙されていたことを知り逆上した西田大尉は、梅香を射殺、自殺してしまった。憲兵隊により梅香たちのアジトである山の手教会の捜索が行われる。同行した椎名たちは屋根の風見鶏に仕組んだアンテナに気づく。そして礼拝場に隠された発信器を見つけ出すのだった。スパイ犬の首輪に隠された紙から神戸港で午後5時に爆破が行われると知った椎名たちと憲兵隊は急ぎ神戸港に急行する。そして椎名の決死の捜索により間一髪で爆弾を発見し、大惨事を防ぐことが出来た。アジトから見つかったリストでスパイたちは一網打尽となる。こうして「雲一号指令」は解決された。椎名は昇進し、また新たなる命令が下るのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5スパイとして生きるということは。

2022年5月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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え

4.5今作でのテーマはスパイは非情であるということ

2020年6月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

陸軍中野学校シリーズ第二作
前作でスパイとなった椎名がいよいよ中国大陸の魑魅魍魎の世界で対外諜報活動に赴任しようという所から始まるのだが、結局呼び戻されて国内のスパイ狩りに投入されるお話
舞台は神戸
防諜捜査のストーリーなので、プロフェッショナルなスパイの技術のシーンもあるものの必然的に刑事物的なお話になっている

1940年7月に実際にあった英国のスパイだったコックス事件をモチーフにしているようだ
象徴的な飛び降り自殺のシーンがある

今作でのテーマはスパイは非情であるということ
敵側のスパイが自らの信念を貫くなら、椎名もまた危篤の母親を顧みもしないのだ

クライマックスの女スパイとの対決で、彼女は毅然と顔を上げ真正面をむいて、こういうのだ

私が売国奴?
もし私が日本人ならそうなるでしょう
でも私は日本人ではありません
私は祖国に殉じる愛国者なのです
(中略)
信念のない人間はいつも愚かなものに決まっています
自由と平和を守る信念のない人間は

このシーンは圧巻だ
泣き伏せる女性がつぎに顔を上げた時には、戦士の顔つきになっているのだ

この後半の台詞は21世紀の私達にも突き刺さるものだ
このような信念の対決に私達は非情を貫いて勝てるのであろうか?
負けるというのなら、日本の自由と平和は奪われてしまうしかないのだ

本作の敵の女スパイが日本人と入れ替わった方法は、北朝鮮のスパイが昔から使う背乗りと呼ばれる実際の手口を使っている

恐ろしくクールだ
どんなハードボイルドな映画でも派手なアクションとやせ我慢だけだ
ここまで本当の意味でクールな日本映画はそうない
森一生監督の演出も的確で、脚本もよく面白い

ラストシーンの陸軍参謀本部内部のシーンが素晴らしく格好いい!
参謀本部第二部は対外情報を扱う部局
ロシア、欧米、支那、謀略の四つの課がある
さてどこの課に呼ばれたのだろうか?

次回作が楽しみだ!

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あき240

3.5一作目と連続で鑑賞したせいかちょっと迫力に欠けたがストーリーも良く...

2015年8月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

一作目と連続で鑑賞したせいかちょっと迫力に欠けたがストーリーも良く出来ていたと思う。

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tsumumiki
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