劇場公開日 1988年1月15日

「チャレンジャー」マルサの女2 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0チャレンジャー

2023年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

笑える

興奮

知的

タイムリーに、かつ皆がなんとなく思っていても、なかなか風刺にできないテーマに、真っ向から焦点をあてた作品。
時代だなあ。
そして、伊丹監督だからこそできた作品。
ただ、ただ、圧倒される。

国家公務員が格好良く見えてしまった。
下手なスパイものより、ドキドキハラハラ。
鬼籍に入られた方や、今の映画やドラマであまりお見掛けしない方も(私が見かけていないだけか?)たくさん出ていて懐かしい。
加藤治子さんや三國さん、上田さんにぞくぞくするなど、芸達者がたくさん出ていて、興奮する。
監督も含めて、それぞれの役者や各スタッフが、お互いを活かしながら、ご自分のキャラ・持ち分をのびのびと楽しんで務めていらっしゃるのではないかと思ってしまう、それぞれのはまりの良さ。
 (加藤治子さんはTVドラマで、品の良いおっとりして慈愛に満ちたお母さま役のイメージを持っていたから、この毒々しさにあてられてしまった)
 (上田さんも、小市民のイメージがあったから…)
 (三國さんはこういう役をさせたらもう圧巻。憎々しくって、ふてぶてしくって、恐ろしくって、コメディアンで、これだけエネルギッシュなのに空虚…)
 他にも他にも。
 皆、役者ですね。

古い映画なので、細かいところでいえば、金庫室へ至る階段等、失笑を誘う設定はある。
けれど、全体的に見れば、
この緊張感とデフォルメ・笑いのバランス。
聖と俗の顔の使い分け。
しかも、舞台(セット)の中で繰り広げられる作りのもの世界のようでいて、すぐ隣で起こっている現実感も失われていない。

バブル。
理不尽な社会の仕組みに虚しさと憤りを感じると同時に、
人は何のためにどう生きるのか、
なんてことを改めて考えてしまった。

(前作未鑑賞)

とみいじょん