劇場公開日 2021年7月9日

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「原作の不穏な空気をきっちり描き切った作品」ヒルコ 妖怪ハンター 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作の不穏な空気をきっちり描き切った作品

2021年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

言わずと知れた諸星大二郎原作、塚本晋也監督の怪作。
それと監督の2作目で、初のメジャー配給でもありますね。
正直このリマスターの一報にはかなり驚きました、もう30年経つんですね?
しかもリマスター記念上映までやってくれるのだから、テアトル新宿ってやっぱり素晴らしい。
この作品で一番の収穫は、やはりジュリーを引っ張り出せた事でしょう。
監督が「どうしてもお願いしたかった」と言ってましたが、これ原作の「稗田先生って沢田研二にちょっと似てない?」って一コマからですよね?このファン目線がすごい。
作品は監督独特のカメラワークがかなりのもので、狩に向かうシーンは今観ても緊張感があります。
それとジュリーのヘタレ具合が凄くて、声が良いからとても映えるんですね。
あと驚いた時の表情。ドリフの時に培ったかのような顔芸を見せてくれます。
そのヘタレ具合は本当徹底されていて、用務員の渡辺さんが昔話をする時もキンチョールに指をかけたままなんです。
顔芸ですが、始まりと終わりの方にしか出ていないのに、竹中直人の存在感はすごすぎですね。
それとヒルコの動きが今見てもすごいと思いました。一体どうやって撮ったんだろう?
塚本作品らしく尺は短めですが、原作の不穏な空気をきっちり描き切った作品です。
いや、見事でした。

白波