劇場公開日 1967年10月20日

「美女の世代対決」華岡青洲の妻 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0美女の世代対決

2020年3月14日
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鑑賞方法:映画館

若尾文子映画祭で観賞。

有吉佐和子による実話に基づくフィクションが原作で、嫁姑の愛憎劇にスポットが 当たっている。
主人公は妻の加恵(若尾文子)だと思うが、映画の主演は青州役の市川雷蔵みたいだ。

増村保造監督、新藤兼人脚色の黄金コンビ。

若尾文子は18歳から40歳代半ばまでを演じている。
憧れの於継(高峰秀子)に心を奪われる若い頃を演じる若尾文子には、チャーミングな清純派の一面が見られる。
そして、雷蔵登場以後は健気さと強さが一体となった成熟した若尾文子が見られる。

高峰秀子は、鬼姑とよき義母の二面性を鬼気迫るまでの演技で魅せる。

雷蔵は、いつものネチッコさが隠せない(これを男の色気と言うのか)。
「乳を揉まれると痛いか?」なんて台詞が似合いすぎ。

語りの杉村春子は、この後舞台で於継役を長く務め、はまり役となった。

しかし、あの乳ガンの腫れなどの特殊メイクはスゴすぎる。
まともに歩けない猫は、演技とは思えない。今なら「動物を虐待していません」というテロップが必要。(してると思うけど)

於継は、どのような思いで最期を迎えたのだろうか。
病床で、加恵に雲平(青州)を頼むと手を握る。が、加恵はえずいて手を振りほどき、部屋を出る。「そんなに私が嫌いか」と切なさを見せる。
一方の加恵は、ガンにおかされた義妹(渡辺美佐子)に「お母様のお陰で私がある」と言うが、於継の娘であるから気を遣ったのか、今となってそれに気づいたのか…。
結局、嫁と姑はスレ違う関係にあるのだろうか。

kazz
talismanさんのコメント
2020年10月23日

kazzさん、こんばんは。この映画の高峰秀子の美しさと凄み、いいと思いました。彼女は若い頃はいつも同じ役回り、可愛くて家族の為に犠牲になったり悲しい立場になったりでお人形さん。それがこの姑役!本人はやりがいあって嬉しかったんじゃないかなと思いました。

talisman