劇場公開日 1992年5月23日

「島崎藤村の「破戒」」橋のない川(1992) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0島崎藤村の「破戒」

2018年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 以前からずっと読みたかった原作本、ついに読むことができずに先に映画を観る。部落差別問題は自分の身近にないため実感が沸かなかった問題なのだが、現在でも続いている差別は重要な社会問題である。もっと取り上げられるべきなのに、人はその問題を避けようとしている。劇中の会話で出てくる「エタ」とは上の人間が勝手に決めたもの・・・こうした重要なことはもっと映画で掘り下げてもらいたかった。

 島崎藤村の「破戒」も劇中の会話に登場するが、この主人公の丑松のような戒めをどう捉えているか、登場人物の中でも様々であることがわかる。やがて素性を隠さないで堂々と取り組むことによって「水平社」誕生へと繋がるのだ。

 映画全体として、原作を忠実に再現しようと努力はしているのだが、子供時代のストーリーが冗長部分が多くすっきりまとまっていなかったのが残念。学校の先生の考え方も伝わらず、ある程度の脚色が欲しいところだ。1969年の今井正監督作品も見たくなりました。

kossy