劇場公開日 1993年11月6日

「ショウガの姜」月はどっちに出ている kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ショウガの姜

2023年2月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 初めてテレビで観たときにはルビー・モレノのヌードばかりが印象に残ったが、元自衛隊員の新人運転手・安保(金田明夫)がしつこく自分の居場所を問い合わせる姿を見て、タクシー運転手になってもいいかな~などと思った末が今の俺かもしれない。今回3回目の視聴。

 評論家によっては非日本人から見た日本人・・・云々といったものがあったが、それよりはタクシー運転手の日常や、世間から見下された職業といった印象が強い。キネ旬では評価が高いというのも在日コリアンを扱っているからだろうか。『GO』しかり、『パッチギ』しかり。今となると、「日本は単一民族国家」とのたまった大臣のことさえ思い出してしまう。

 基本のストーリーは、母親の朝鮮の南北統一には興味もなく、女を口説くのが生きがいであるかのような忠男が大阪弁を流暢に喋るコニー(モレノ)にアタックし、うまく結ばれたものの、今度は母親が「結婚するのは朝鮮人じゃなきゃだめだ」と諭し、別れさせられる。そして、社長がゴルフ場建設の美味い儲け話に乗ったばかりに騙され、借金まみれになるといった感じ。

 しかし、その基本ストーリーよりも、パンチドランカーの運転手ホソ(有薗芳記)の「朝鮮人は嫌いだけど忠さんは好きだな。一瞬、金貸してくれよ」が口癖。ヤンキーあがりのおさむ(芹沢正和)が客を殴った事件。イラン人のハッサンが整備士であるのに勝手にタクシーを運転して逮捕された事件(回送にしていればOKのはず)。妻に逃げられた運転手(國村隼)が赤ん坊を背負ってる姿。さらに、忠男が親しげに喋ってくるサラリーマン(萩原聖人)が乗り逃げしようとした事件・・・これらサイドストーリーのほうが絶対に面白い!タクシー運転手というのは前歴が様々。それに性格も個性的で面白いものだ。

 梁石日の実体験からきているフィクションなのだが、原作を読みたくなってきた(タクシー・ドライバー)として。今ではこんな状況のタクシー会社はないと思うけど、昔の話を聞かされると面白いのはいっぱいあるぞ!

 ちなみにラストでは会社は倒産したと思われ、新たなタクシー会社に入った忠男が長野までコニーを迎えに行く。エンディングテーマ曲は憂歌団♪

kossy