劇場公開日 1990年11月23日

「Stand by me」さらば愛しのやくざ MAKOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5Stand by me

2024年2月1日
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「カラオケ行こ!」を観に行った際、そういえば「さらば愛しのやくざ」も学生とヤクザの話だったなぁ。
なんて事を思い出し、何百本もDVDをコレクションしてるのにこの映画は持ってない事に気付いた。(VHSは有る)
のでその日その場でヤフオクより購入。
届いた翌日うン十年ぶりの鑑賞。

何故だろう、観ていると涙が溢れてきた。
ギバちゃんがお腹をちょっぴり切られるシーンで、笑いながら泣いていた。

陣内孝則、柳葉敏郎、相楽晴子、内藤剛志、室田日出男、田中邦衛、片桐竜次、大竹まこと、豊原功補、稲垣吾郎

このキャストだけで興味を惹かれる方も居ると思う。
どのキャラクターもピッタリハマっていて、それぞれ役に嵌った見事な演技を披露してくれる。
古い映画を見返すと当時は気にならなかったのに演技が大仰だなと感じる事が割とあるが、本作はそれが無い。
勿論役者の演技力も有ってだが、演出が上手いのだな。

和泉聖治監督はピンク映画で下積みを重ねた人気と実力の有る当時の日本のエンタメを支えた監督の1人だが、77歳の今でもドラマ「相棒」の監督をしている。
もはやベテランというよりレジェンドクラスの監督だが、この映画では若い二人の主人公を、若者らしく、格好良く演出しています。

本作はタンゴ調の劇伴も作品の世界に見事に嵌っていて、聴いているとなんだかウットリしてしまう。
そんな劇伴担当は当時から売れっ子の大谷幸氏。
まぁ売れっ子というのはマイルドな表現で、たぶんこの人は睡眠必要無い人です。
そうとしか思えない仕事量をこなす作曲マシーンです。本作公開年も他に2本の劇場映画の劇伴を担当しています。
アニメ好きな方ならもっと詳しいかも。

ストーリーは前半と後半に明確に分かれていて、前半は主人公二人の出会いと交流、そして大きな転機までを描いて、後半はその十年後を描いています。
この構成は正しいと思う。青春には終わりが有って嫌でも大人に成る時が来る。
青春は延長など出来ないのだよ。だからこそ価値があるのだ。

映画「スタンド・バイ・ミー」では死体を見に行くという少年達のひと夏の冒険を描いているが、死を身近に経験するというのは大人に成る為の通過儀礼だ。
本作の主人公である中馬達也にとって藤島悟郎との出会いは冒険であり、通過儀礼を経て青春は終わる。
十年後に再度冒険が始まるが、若者では無くなった二人は冒険のけじめを取る事になる。

このレビューのタイトルをどうしようかと観ながら少し考えていた。印象的で大好きなセリフも沢山有る。
が、エンドロールまで観た時、これしかないなと思った。

星4·5の評価は想い出フィルター入って加点している自覚は有るが、いいじゃないか。映画の感想や評価は人それぞれなんだから赦されるだろう。

この映画も冒頭では三角マークがどどんと出るが、ヤクザ映画じゃなく、任侠映画でもない。
青春映画の名作ですよと未見の人にはオススメしたい。

MAKO