劇場公開日 1963年6月2日

「歌って踊って実は意外と本格派だったりして、カルト十勇士」真田風雲録 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0歌って踊って実は意外と本格派だったりして、カルト十勇士

2020年12月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

楽しい

加藤泰監督1963年の作品。

関ヶ原の戦いの後に出会った一人の男と、少年少女たち…。
タイトルからも察する通り、本作は猿飛佐助を始めとする真田十勇士の物語。
加藤監督作だし、本格的な時代活劇を期待出来ると思いきや、何と何と、時代劇ミュージカル・コメディ!
いや~、びっくり。
加藤監督、こういうのも撮るんだ…。

とにかくハチャメチャな展開。
歌と踊りと、シュールな演出やギャグもいっぱい。
チャンバラや忍術シーンも独特の表現。
でもただの異色作ではなく、名優たちが演じる歴史上の人物と歴史上の出来事、一応らしく策略やシリアスな訴え、合戦や猿飛とお霧のロマンスも織り交ぜ、痛快なノリのエンターテイメントにまとめている。

調べてみたら、今や日本映画のカルト作と名高いが、当時は東映始まって以来の興行大惨敗。批評家筋からもコテンパンに…。当時の岡田東映社長から、ずっと言われ続けたという。
鈴木清順監督の『殺しの烙印』もそうだが、当時はそうでも、いずれ変わるかもしれないから面白い。
まあ、何ともヘンテコと言えばヘンテコ。
でも何処か、面白味があると言えば面白味がある。
そう意味ではやはり、これは成功ではなかろうか。

『真田幸村の謀略』のような本格派もあれば、2016年の『真田十勇士』のような同じくユニークな作風まで、いつの世もこの10人の勇士の活躍は千差万別。

近大