西鶴一代女のレビュー・感想・評価
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お春の生き様が、目に入らぬか!!!
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時代劇では、埋もれがちな「女性の境遇」にスポットが当てられた本作。
「家柄」、「娶る」、「世継ぎを産め」など、封建制度下では、当たり前の、どこまでも男性本位な価値観が気持ち悪かった。
その一方で、どんな環境でも、気丈に振る舞う、お春の生き様は、金と面目次第で態度が豹変する武士や商人と違って、潔く映る。
にしても、時代の副産物というのか、不幸の連鎖が容赦なくお春にふりかかるのだから、やるせなくて…。
田中絹代が10代の良家の娘から、大名の側室、商売人の妻、髪結い、遊女、尼など、江戸時代の女の地位、職を網羅したお春の壮絶な一代記を儚くも気高く演じている。
また、お春が、五百羅漢像と昔の男を重ね、回想していくシーンや、長回しのカットで際立つ諸行無常の切なさが見事。
日本ならではの哀愁漂う演出にうっとりした。
溝口健二✖️田中絹代の最強コンビにあっぱれ!
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不幸を自ら背負い込んでいく女の一代記
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ストーリーは運に見放され堕ちていく女ということで、ありきたり?ただ最後、大名屋敷から自らの意思で逃げ出したわけで、実は自らこの流転を積極的にセレクトしてきた一生で、戦後の自立しようとする女のはたから見ての困難さを象徴しているようにも思えてくる。落ちるとこまで落ち、大逆転で大名の生母として幸福になる?否そうではない、という展開はなかなか面白かった。
勿論、有名な森の中を田中絹代が死のうと走る姿を長回しで追いかける等、動きと流れがある映像は、確かに今見てもカッコイイかぎり。ただ、10代の娘を演じるのは相当に無理感はあって、昔は可憐だったらしいが、田中絹代のこの映画での全体的な演技自体は好きにはなれなかった。とは言え、猫を使っての女主人への復讐劇や最後の方での娼婦としての化け猫演技は、上手い演出と思わされた。
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