「お春の生き様が、目に入らぬか!!!」西鶴一代女 ウーパーさんの映画レビュー(感想・評価)
お春の生き様が、目に入らぬか!!!
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時代劇では、埋もれがちな「女性の境遇」にスポットが当てられた本作。
「家柄」、「娶る」、「世継ぎを産め」など、封建制度下では、当たり前の、どこまでも男性本位な価値観が気持ち悪かった。
その一方で、どんな環境でも、気丈に振る舞う、お春の生き様は、金と面目次第で態度が豹変する武士や商人と違って、潔く映る。
にしても、時代の副産物というのか、不幸の連鎖が容赦なくお春にふりかかるのだから、やるせなくて…。
田中絹代が10代の良家の娘から、大名の側室、商売人の妻、髪結い、遊女、尼など、江戸時代の女の地位、職を網羅したお春の壮絶な一代記を儚くも気高く演じている。
また、お春が、五百羅漢像と昔の男を重ね、回想していくシーンや、長回しのカットで際立つ諸行無常の切なさが見事。
日本ならではの哀愁漂う演出にうっとりした。
溝口健二✖️田中絹代の最強コンビにあっぱれ!
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