劇場公開日 1959年3月29日

「差別問題を描いた成瀬巳喜男監督作」コタンの口笛 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0差別問題を描いた成瀬巳喜男監督作

2022年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

京橋の国立映画アーカイブにて鑑賞。

好きな成瀬巳喜男監督の未見作だから観に行った。
差別問題が全体を覆っている映画なので、成瀬監督作の中でも超重たい映画。
それでも、差別される側の人々の中で、ほのぼのしたシーンを描くあたりは、成瀬監督らしい (^^)

(※)以下、映画での表記・発言をそのまま記載。

「北海道のある町のはずれにあるコタン(アイヌ人部落)を舞台にした物語」との冒頭テロップ。
このコタンに中学生の姉弟、父親(森雅之)、祖母(三好栄子)が幸せに暮らしている。
しかし、子供たちが学校に行くと、同級生から「あ、犬だ!」→「どこに犬?」→「アイヌだよ」などと言われる。

一方、アイヌ人は日本人のことを「和人」と呼んで、「和人は昔からアイヌ人を差別するんだ」と言いながら我慢する姿が描かれる。
和人の差別は次から次に続いて、「アイヌ人は劣等だ」、「劣等だから違う血が流れている」……など。

ただ、こうした物語を描きながらも、「石を投げた次の瞬間に、花火が弾けるシーンに切り替わる」素晴らしいシークエンスなどは、さすが成瀬監督!

他の成瀬巳喜男監督作のような雰囲気に浸るのは難しい映画だったが、いろいろと考えさせられる作品だった。
なお、本作のソフト化は今後も難しそうであり、テレビ放映なども出来ないだろうから、成瀬監督のファンであれば上映された時に鑑賞…という位置付けの映画。

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たいちぃ