劇場公開日 1962年8月11日

「実質的にゴジラシリーズの最初のリブート」キングコング対ゴジラ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0実質的にゴジラシリーズの最初のリブート

2020年1月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

1962年のお盆映画
ゴジラ映画はゴジラの逆襲以来7年ぶり、第三作になる

ゴジラは1954年の第一作が革新的過ぎて、続編を営業上求められてもそれを超えるものは撮れる訳がない
それを第二作では、その無理を押した結果あのような無様な結果となった
それが製作陣も良く分かっているから7年も期間が空いたのだ

その間、別の怪獣をラドンやモスラというように模索したり、地球防衛軍とか宇宙大戦争とか妖星ゴラスとかのSF映画を模索して来た

しかし、やはりゴジラという看板は魅力的でなんとか復活させたかったはずだ
だから今でいうところのリブート企画が必要だったのだ

モスラは実際のところ1937年の元祖キングコングの翻案であったから、そのライセンスを契約する必要があったから本作が生まれたのだと思う

キングコングの巨額のライセンス料を償却するためには何が何でも当たる企画が必要だったのだ
ならばキングコングそのものを撮ってしまえ
なんならゴジラも出せ
それなら絶対当たるだろう!
そのような乗りでできた企画だったのではないだろうか

元祖キングコングのオマージュを丁寧に散りばめて、基本元祖キングコングのリメイクとなっている
ゴジラは突き詰めるとゲスト怪獣に過ぎない

しかしゴジラ映画として観るとリブートなのだ
戦争とか原水爆反対とかのメッセージ性は完全に削ぎ落とされて、キングコングと同レベルの単なる巨大モンスターとして登場させている
だから、これからはいつでも大した理由が無くても登場可能になったのだ
お話も意識的に女性や子供向けに寄せて来ている
モスラでの女性と子供向けの怪獣映画の路線の上に作られているのだ

しかも戦うシーンは、当時大人気だったプロレスを思わせるようなシーンまで入れてある
だから男性も喜ぶ内容になっている

果たして本作は空前の大ヒットとなり、キングコングの契約権料は回収もでき、それ以上の成功となった
単に興業収入だけでなく、今後ゴジラ映画をどんどん撮れるようになったのが最大の成功だろう

次のゴジラ映画早く撮りたいな!
次の対戦相手は?
モスラで行くか!

こうして東宝特撮はこんなイケイケムードになっていくわけだ
酔っ払ってしまったといっても良い

大成功は凋落の芽を人知れず生み出すもの
それが明らかになるのは数年後のことになる
その原点は本作にある

あき240