劇場公開日 1955年4月24日

「高いハードルは下げなきゃ次が飛べないのだ」ゴジラの逆襲 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0高いハードルは下げなきゃ次が飛べないのだ

2019年11月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

シリーズ続編は難しい
ゴジラもまたしかり
特撮部分は力が入っているのは分かるが、ドラマパートのクオリティダウンは目を覆うばかり

前作同様黒澤組から志村喬がワンシーンだけながら出演し、それでは不足と千秋実までつけているが脚本のレベルが低すぎた
前作で観られた国会委員会などの美術や大戸島の撮影など成瀬組のカメラや美術の素晴らしさは見る影もない
音楽は普通こんなものだろうが、前作の伊福部昭を聴いてしまっていてはもの足らないばかり

前半の大阪編は日本各地を舞台にする続編制作の為なので当然のこと
アンギラス登場も新味を出す為には良い施策
と、ここで強引に北海道パートに移る

何故に北海道なのか
もちろんクライマックスの氷漬け作戦の為だ
では前半は大阪でなく何故札幌パートにしなかったのかと思うが、さほど壊して華のあるものがないという身も蓋もないことが理由だろう

大阪編は、対策本部は警察本部に置かれており、現場でも警察部隊が仕切っているように思える
しかし、防衛隊の活躍を特に北海道編はフィチャーしていた
何故に北海道編になると軍事色を強めたのか
やはり、当時の国際情勢が反映されていたものだろう
当時はソ連軍の侵攻が現実味を持って想定されていた時代だったからだろう
ゴジラは今度はソ連軍の侵攻になぞらえられているのだ

その具体的な恐怖が無意識に反映しているように思えてならない
月岡が無線で伝えるゴジラ発見位置はなんとオホーツク海の中央だ
完全な領空侵犯だし、神子島は千島列島のいづれかの島になってしまう
もしかしたら北方領土なのかもしれない

ドラマパートは後の社長シリーズぽい味わいがあるがゴジラという脅威になぜに民間会社が舞台になるのか
シリーズ化のためのライト化の為にはやむを得ない
高いハードルは下げなきゃ次が飛べないのだ

あき240