劇場公開日 1957年5月29日

「編集でこういうことができるのも映画の面白さか」怪獣王ゴジラ(海外版) 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0編集でこういうことができるのも映画の面白さか

2023年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

初代ゴジラのアメリカ版は、向こうで映像が足されてアメリカ人が主人公になっているというのは知っていたのだが、U-NEXTで配信されているのを見つけたので観てみた。確かに、アメリカ人俳優レイモンド・バーの主演映画になっていた。編集の妙というべきか、レイモンド・バーと河内桃子が会話しちゃうシーンもあったりするし、主人公のアメリカ人記者と芹沢博士が友人の設定になっていて、それでも初見だったら違和感なく見れそうに改変されている。切り替えしの編集だけでなく、背中込みの舐めショットもわざわざスタンドインを使って撮っている(志村喬の代役が全然別人すぎる、もうちょっと体格似てる人いなかったのか)。

日本人俳優の台詞が英語に吹き替えられているシーンと日本語のままのシーンが混在しているのは変だとは思うが、映画全体はそれなりに面白く観られる。最後は芹沢がオキシジェン・デストロイヤーで倒す筋書きはそのままだが、原爆関連はほぼない。娯楽映画としてはそれなりにきちんとできているので、同じ素材からでも映画はいろんなバージョンが作れるし、当時の日米の考えの違いとか、いろいろ垣間見れて歴史の証人として見る価値はあった。
あと、モノクロだからセットの違いなど色々と誤魔化しやすいんだろうなと思った。そう考えるとモノクロは表現として豊かだし、自由も広がる部分がある。

杉本穂高