劇場公開日 1956年7月12日

「【高等遊民の様な奔放な兄と、真面目な弟が愛した若き人妻。そして、赦されざる三角関係が齎した衝撃のラスト。今作は邦画の概念を打ち破った日本のヌーベルバーグ的位置にある作品なのである。】」狂った果実(1956) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【高等遊民の様な奔放な兄と、真面目な弟が愛した若き人妻。そして、赦されざる三角関係が齎した衝撃のラスト。今作は邦画の概念を打ち破った日本のヌーベルバーグ的位置にある作品なのである。】

2024年2月21日
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■夏の逗子海岸。
 何不自由なくヨットやサーフィンで遊ぶ兄弟。
 享楽的な兄の夏久(石原裕次郎)に対して、弟の春次(津川雅彦)はウブで純真だったが、海岸で出会った美女、恵梨(北原三枝)に引かれ、真剣に付き合うようになる。
 だがある日、夏久は偶然に、恵梨に夫がいることを知ってしまう。

◆感想

・今作では、アンモラルな「太陽族」のような兄の夏久と、弟の春次の対比が巧く描かれている。

・又、夏久が夫がいる恵梨をそれ故に誘惑し、恵梨が大した抵抗もせずに二人が情交を結ぶシーンもアンモラルである。
 この描き方は小津監督に代表される、それまでの邦画では考えられない。

■若き、石原裕次郎、北原三枝(ご存じの通り、今作品を切っ掛けに結婚。)津川雅彦も当たり前だが、魅力的である。

<ラスト、夏久が恵梨をヨットに乗せ、船内で情交し朝を迎えるシーンと、二人を追ってボートを血走った目で疾走させる春次が取った行動は衝撃的である。
 そういった意味で、今作はそれまでの邦画の潮流を変えた、日本のヌーベルバーグ的位置にある作品なのである。>

NOBU