劇場公開日 1966年6月11日

「時代の持つ日本の美の中における女の一生」紀ノ川 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時代の持つ日本の美の中における女の一生

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 85
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 70

 主人公は今風に言ってしまえばただの主婦であり、社会的に見てそれほどたいした人物でもない。それなのにその一生が、「家」を通して壮大に描かれていてしっくりと心に入ってきた。明治から昭和にかけての古い社会に生きる古い時代の女の生き様の描き方が、文学作品を基にしているだけあって透明感があって格調高かった。当時の社会は現代と随分と異なっているのだが、価値観や生活様式の違いが、美しく郷愁的な風景と一体となって興味をそそった。この時代は本当にこういうものだったのだろうし、登場人物の生き方にその時代の価値観が持つ美を感じる。また娘や孫との関係も時代の変遷と共に取り入れられて、それが彼女の生涯の大きな一部分になっているし、社会が大きく変動する中での世代の差も興味深かった。

 1966年制作でそれなりに古いのだが、天然色の映像は日本の風景も古い屋敷も良く映していた。登場人物はみんな演技も良いのだが、特に主人公の司葉子は秀逸。

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Cape God