劇場公開日 1996年3月16日

「本作の主人公は岸和田の街自体だ 岸和田の街の凄さは活写出来ている」岸和田少年愚連隊 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0本作の主人公は岸和田の街自体だ 岸和田の街の凄さは活写出来ている

2020年6月18日
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だらだらと締まりの無い映画だった
つまらない時間だった

岸和田には個人的に一時期関わりがあった
春木駅前など懐かしい光景が沢山登場した

岸和田は大阪でも特殊な街だ
南海電車で初めて行く時は緊張したものだ

大阪府下で天守閣を持つ本格的な城構えを持つのは大阪城と岸和田城だけだ
あとは砦のような山城か出城のかすかな遺構に過ぎない

それは何故か?
岸和田は岸和田藩として独立していたからだ
だから現在に至るまでも、同じ大阪府といえど違う土地柄なのだ
裁判所の地方支部があるように、今も主要な政府機関の出先は一通り揃っている街だ

古い歴史のある城下町、紀伊街道の大きな宿場町、そして漁港
大昔は競馬場もあり、競輪場は春木駅前に今もある
開催日には、日雇い労働者が多いことで有名な西成区の新今宮からその客層が満員電車になって競輪場にやってくる
予想屋が駅前に今も立っているだろうか?

つまり、ヤクザやそれに近い人が多い、それもかなり多いということ
普通の人でもかなり気の荒い土地柄だということだ
全国的に有名なだんじり祭りがああなるのは、その土地柄がそうさせるのだ

言葉も特殊
岸和田弁は関西弁の範疇だが、ふつうの大阪弁ではない
泉州弁と総称されるが堺辺りの言葉でもない
もっと荒い、漁師言葉的な荒々しさが濃厚な言葉だ
柔らかい商人言葉である本当の大阪弁とは異質
田舎の河内弁の下品さをより荒々しくした言葉

本作ではかなり上手く岸和田弁をあやつっているが、かなりマイルドで大阪弁に近い
そもそも岸和田自体でも今はそうなってきているのだから仕方ない
昔はもっときつかった
小林稔侍は和歌山県出身であるため、和歌山弁に近い岸和田弁の特徴が良く出ていて、一番岸和田弁らしさが出ていた

カオルちゃんはデフォルメされているが、あのような言葉つかい、態度や仕草は、本当に岸和田ではあるあるパターンだ
個人的にあのような人を知っている
もちろん岸和田で真っ当な会社のお偉方している普通の人だ

本作の主人公は岸和田の街自体だ
岸和田の街の凄さは活写出来ている

しかしだらだらとしたドラマの羅列は閉口した
そこに星を一つオマケだ

あき240