劇場公開日 1964年3月1日

「日本のフィルムノワールの最高峰だ!」乾いた花 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0日本のフィルムノワールの最高峰だ!

2020年3月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

傑作だ!
観終わった時のこの呆然とし、湧き上がる感激
「映画」を観たという喜び、充足感、満足感
いや、痺れたというべきか、それとも酔いしれたというべきか

これほどにスタイリッシュな日本映画はない
撮影が抜群に良い、べらぼうに良い
この乾いた感覚は他の日本映画で観たことがない
そしてフランス映画のどんなフィルムノワールよりも美しいのだ

池部良がこれほどに凄い俳優であるのかにも刮目もした
そしてなにより都会的センスに溢れていること!
確かに物語はヤクザ映画だ
しかし東映のヤクザ映画のような田舎臭い野暮さはまるでないのだ
横浜らしい無国籍の風味が全篇を支配している
主人公は着流しも着るし、花札賭博にも出入りする、賭場には両肌抜いた刺青の男がいる
しかし主人公が着る洋服は、スーツにしろ、カジュアルなポロシャツ姿にしろ抜群の都会的センスだ
ファッション雑誌のアート的なモノクログラビアにも負けない垢抜けた姿なのだ
その彼がコケテッシュな魅力の加賀まりこが運転するコンパチーブルのスポーツカーに乗って未明の首都高を爆走するのだ

そして音楽!
モダンジャズのようなテーマがタイトルバックに流れる
しかしあとは殆ど音楽はない
ごく一部にのみ限定的に流れるのみだ
そしてクライマックスの殺人シーンのオペラ!

殺人シーンでこれほどの感動を受けたことはない
語り草になる日本映画屈指の名シーンだ

なるほどスコセッシが松竹からプリントを直接購入して数十回は観たというのは納得できる

日本のフィルムノワールの最高峰だ!

あき240