哀しみのベラドンナ

劇場公開日:

解説

「千夜一夜物語」「クレオパトラ」に続く虫プロ=ヘラルド映画提携のアニメラマ第三作目。フランスの歴史家ジュール・ミシュレの『魔女』を原作に、ローマ教会によって迫害された“魔女”と呼ばれた特異な女たちが、実は暗黒からの人間の解放を最初に謡った女だという視点で描いた長編アニメーション。脚本は福田善之、監督は脚本も執筆している「クレオパトラ」の山本暎一がそれぞれ担当。

1973年製作/89分/日本
配給:その他
劇場公開日:1973年6月30日

ストーリー

中世フランスの美しい農村。熱い恋をして結ばれたジャンとジャンヌは、ささやかな結婚式のあと、領主のもとへ、貢ぎ物の金貨を献上しに行った。当時は、すべての快楽と苦痛は神の、またその化身の領主からの授けものと考えられていたのである。だが、ジャンヌの魅惑的な姿態と清楚な美しさは、領主や家来たちの欲情をかきたたせることになった。やがて、ジャンヌの無垢な肉体は、彼らのなぐさみものとなった。翌朝、ジャンヌは、見るも無惨な姿で城から帰って来た。ジャンの優しい抱擁も、いたわりの言葉もジャンヌの心をいやしはしなかった。それは、ジャンにとっても同じだった。ある夜、ジャンヌは糸紡ぎをしている時、しきりと何か、絶望の淵から救い上げてくれる力を、期待している自分に気ずいた。だが、それは悪魔たちの誘惑にちがいないと思ったジャンヌは、慌てて自分の考えを否定した。一方、村では飢饉が広まり、その上、領主の無暴な重税取り立てにより人人は苦しんだ。だが、ジャンヌとジャンの家だけは、ジャンヌの糸を紡むぐおかげで、税金を払っていたために、人々はジャンヌは悪魔の力にとりつかれていると噂するようになっていた。今では、税取り立て官に任命されているジャンは、戦争が始まったために戦費をかき集めるように領主に命令された。だが、金は思うように集まらなかったために、ジャンは領主の怒りを買い、左の手首を切り落されてしまった。この頃から、ジャンヌの魂には神への反逆の炎が静かに燃え上っていった。領主たち始め、ほとんどの男たちが出兵してしまった後で、ジャンヌは村の経済を一手に握ってしまった。戦争から帰って来て、人々のジャンヌへの尊敬ぶりに怒った領主は、神の座を犯す者として、ジャンヌに魔女の烙印を押した。村から逃れたジャンヌはとある無限に広がる原野に辿りついた。もう彼女を束縛するものは何もなかった……。その頃、ヨーロッパ全土を黒死病が襲った。ジャンヌがいた村も壊滅状態に近かった。だが、半死人のまま棄てられた何人かの人人は、ジャンヌがベラドンナという毒草から作った薬で救われた。それを聞きつけた村の人たちは、ジャンヌのもとへ押しよせた。やがて、ベラドンナの園では、神の重圧から解き放れたように、人々の楽しげな宴がくりひろげられた。一方、城にも黒死病はしのび寄った。領主はジャンを使って何とか、毒落しの製造法を聞き出そうとしたが、ジャンヌは堅なに拒否した。ジャンヌのふてぶてしさに領主は火あぶりの刑を宣告した。十字架にはりつけにされたジャンヌに火がはなたれた。思わずジャンは、刑場にとび出て領主に罵倒を浴びせた。その瞬間、槍がジャンの胸をつらぬいた。苦しげに虚空をつかむジャンの姿に、炎につつまれたジャンヌの表情がかすかに動いた。「ジャン……」といったのかもしれない。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5大人向けのアニメーション。

2019年4月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

子供の時にもし観たらトラウマになっていたな…
ウノ・カマキリは宇野亜喜良とは別人なのかな?

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