劇場公開日 1985年12月28日

「『二十四の瞳』へのオマージュ?いや、それよりもまいっちんぐマチコ先生か・・・」男はつらいよ 柴又より愛をこめて kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0『二十四の瞳』へのオマージュ?いや、それよりもまいっちんぐマチコ先生か・・・

2019年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 あけみが失踪したためタコ社長はTVの尋ね人のコーナーで呼びかけてみるが、あけみはとらやに電話して「寅さんに会いたい」と告げる。偶然にも帰ってきた寅さんは休むこともせず、伊豆の下田へと飛んでゆく。早速知り合い(笹野高史)に当たってみると、スナックで働くあけみらしき女は「さくら」と偽名を使っているらしい。

 美保純の演技が絶好調!再会のシーンではちょっとウルウルしてくるほど。明美が式根島に渡りたいと言い出してフェリーに乗るが、島の小学校の同窓会パーティに出会う。学校には美人の独身先生が現役のまま、マドンナ先生と呼ばれていたが、11人の生徒だったので「二十二の瞳」と言っていた。寅さんは自分も入れて「二十四の瞳だな」と冗談を言う。そのまま宴会に参加するというのも寅さんの人柄の賜物なのか。

 あけみが宿屋のあんちゃんに「あの人は関係ない。フェリーで一緒になっただけ」などと言うが、同じく寅さんもマチ子(栗原小巻)に同じ台詞を吐くのが面白い。また「女房もいないくせに人妻の気持ちがわかってたまるか!」という名言も。いつものごとく、一目ぼれして女性に足止めを食らった寅さんを、今度は逆にあけみが連れて帰るようにと頼まれる面白さがあった。

 毎度のパターンで、マドンナは生まれ故郷の東京へ戻ってくるが、亡くなった親友の夫(川谷)にそれとなくプロポーズされる。そしてそれを寅さんに相談するという毎度おなじみのパターンだ。「胸焦がれる恋をしたり…その箱にカギをかけたまま」などという言葉にはぐさり。たしかに恋愛を経験せずに結婚してしまうことの寂しさはあるのだろうけど…これがまたあけみにとっても同じことだったのだと観てる者は気づくのだ。

 川谷拓三の仕事がロシア語辞典の編纂という仕事で、ロシア料理店での会食とロシアづくしだったのだが、冒頭の夢では寅さんがアメリカのロケットに乗ることや御前様が英語を駆使していることなどから、時代的にペレストロイカや冷戦終結に向かう米ソといった裏テーマがあるように思われた(わかりませんが奥が深い)。

 美保純の入浴シーンもお見逃しなく!見逃した方は『ピンクのカーテン』をご覧あれ。

kossy
しゅうへいさんのコメント
2020年1月10日

 もしかしたらkossyさんの見解のような意味合いも籠められているかもしれませんねぇ…。そこまで思い至りませんでした。

しゅうへい
kossyさんのコメント
2019年12月9日

masamiさん、羨まし。
式根島に行ってみたいなと思いつつ、今でも調布の飛行場から飛ばなきゃいけないのかも知らず、飛行機苦手のおっさんには叶わぬ夢なのかもしれません。

kossy
masamiさんのコメント
2019年12月9日

私はその温泉に入りました!
地鉈温泉!ただ水着で入る温泉です。
近大さんと被りますが式根島の風景は素晴らしい!

masami
近大さんのコメント
2019年12月6日

これまでの傾向から、寅さんはどうしても不器用な男には肩入れしてしまうんですよね。
話を聞いただけでも、マドンナを大事にする男だという事が分かったんでしょう。多分(^^;

美保純は個人的に好きなキャラでした。
新作にも久々に登場するようで、どう面白可笑しくしてくれるか、楽しみです♪(^^)

近大