「無法寅の一生?」男はつらいよ 寅次郎真実一路 syu32さんの映画レビュー(感想・評価)
無法寅の一生?
「男はつらいよ」シリーズ第34作。
松竹創業90周年記念番組。
Huluで「HDリマスター版」を鑑賞。
さて始まりました、「男はつらいよ 寅次郎対ギララ」! …あ、違った(笑) これは夢のシーンでした(笑) 短い時間の中に怪獣映画の要素が凝縮されていて、めちゃくちゃ感動しました。断末魔が「寅さ~ん」というのが笑えました。
それはさておき、大原麗子が再登場!
今回は証券マンの妻・ふじ子役。過去のマドンナが違う人物として出て来るなんて少しややこしいなと思いました(笑)
前回から年齢を重ねた分美しさと色気が増しており、まさしく人妻らしい雰囲気を纏っていて生唾を飲み込みました(笑)
…そうなんですよ!
お気付きの方もいらっしゃるでしょうが、シリーズ史上初、人妻に恋をしてしまった寅さんの物語なのです!
未亡人に恋をしたことはありましたが、今回は―途中で夫が死去したパターンはあったものの―徹頭徹尾人妻(笑)
夫が急な失踪を遂げ、悲しみに暮れるふじ子を慰める寅さん。そんな折、鹿児島で目撃されたという話を聞くやいなや、苦手なはずの飛行機に飛び乗って彼女と共に捜索の旅へ…。
その道中、寅さんの心にこんな想いが過りました―「このまま見付からないでいてくれたら…」。そんな考えを持ってしまった己を「醜い」と表現して苦悩するのでした…。
まるで「無法松の一生」だなと思いました。柴又に帰っても尚自分のことを「醜い醜い」と言い続ける寅さんでしたが、「自分を醜いと気付いた人はもう醜くありませんよ」という博の言葉と、フラッと帰還した夫とふじ子たちが抱き合う姿を観て、寅さんも私も救われたような気がしました。
自分もやはり、OP夢の怪獣が印象的な回でした。
奇しくも84年末なので、9年ぶりの『ゴジラ』が公開された時。
山田監督、ひょっとしてそれを意識して?…と、いつも見る度思ってます。