劇場公開日 1955年1月15日

「南国で出会い、雨降る島で永久の別れ」浮雲 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0南国で出会い、雨降る島で永久の別れ

2022年1月27日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

高峰秀子と脚本の力がとにかく素晴らしかった。ゆき子=高峰秀子のセリフの一つ一つが最初から最後までリアルでシャープで男全般に対する皮肉と本心、普遍的。一方の富岡もゆき子に嫌みばかり言うクズ男だがどこまでも優しい。第一印象だって悪かったのに二人は出会ってしまった。子鹿のバンビのようにかわいらしいゆき子。一人で生きていける強さを持っているのにゆき子はひたすら富岡を追う。富岡もむげにしない。ゆき子がどんな男とつきあおうとどんな暮らしをしていても、ゆき子を拒むことは一切ない。優しさと腐れ縁の連続。二人は離れない。

高峰秀子、本当に凄い。娘時代の彼女はおんなじような役(親思いの健気な娘)ばっかりやらされていて本当に気の毒で可哀想だと思った。だからこのような作品にオファーされ堂々と演技するチャンスを与えられたのは女優として最高の幸せで彼女も肝が据わっていたんだと思う。この役をできる女優は今の日本にはいないでしょう。

talisman
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2023年8月20日

 talismanさんへ
色々とコメントまでも頂いてしまいました。
若い頃はネガティブな展開の映画も好きでしたが、年齢を重ねてきて、より希望を感じ取れる作品が好きになっていた中でも、この作品には不思議と魅入られた映画の1つで、やはり作品の完成度の高さに惹き付けられたのでしょうね。

KENZO一級建築士事務所