劇場公開日 2020年4月3日

「道標」AKIRA 映画読みさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5道標

2023年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

今の時代の人間が観ても、正当な評価は下せない…
というのはそうなのかもしれないが、
とはいえ今の時代の人間が今の時代の教材とすることはできる。

エンタメ界に未だにはびこっている、
「一番すごいなら、一番面白いはずだ」と主張する困った自信家たち。
アマチュアならともかくプロの企画職にもかなりいてしまう。
こういった適性の乏しい者を入り口で排除する、またはチュートリアルで矯正する構造を構築できなかったことが、エンタメ界のボトルネックとなっていることは間違いない。日本だけに限った話ではなく、全世界的に存在しているクリエイティブ界・プロデュース界の「お悩み」だが。
で、そういう「一番すごいなら、一番面白いはずだ」という教徒にとりあえず見せたい作品として、現代でも非常に意義があると思う。
本作はすごい。
その作画のすごさは、世界を獲る気概にあふれている。
だが、本作が「面白い」という評判は、リアタイ勢に尋ねても不自然なほどに口から出てこない。

致命的なのは二つの点に絞れるだろう。
一つは目、脚本と紐付くキャラクター性。全員が、一過性でしかなかった無軌道な昭和の若者バリバリであり、時代のふるいを超えられる人間性が描けていない。そういったイキりをかっこいいものとして描いており、現代人からすると辛い。現代で言うなら、煽り運転を「エネルギッシュで怖い物知らずでかっこいい」という具合でキャラクターたちに当てはめている。
同時代の作品で考えても、「昭和の人間」ではなく「人間」を描いて時代のふるいに残り続けている作品は(もっと低予算でも)多く存在しており、それらに対して脚本のセンスで大きく負けてしまっている。
二つ目は、「すごい作画」にしても力点のミスである。背景やアクションは滅茶苦茶すごいのだが、人物のビジュアルは全然力をいれていないレベルであり、かっこよくない・かわいくない。とくに、女性キャラクターたちが男性キャラクターたちとほぼ変わらないビジュアルというのは、いくらなんでも力の入れ方にミス(修正できない妙なこだわり)がありすぎる。

結果、技術力の誇示が続くスーパームービーだが、それが押し出されすぎており、「どうだ、すごいだろう!すごい映像が見れて楽しいだろう!」であり、観客を「楽しませようとする」ことに付いては低次元というのが伝わってきてしまうパッケージングに留まる。

全体としてすごいのは疑いようがない。
しかし、すごいからといって面白いとは限らない、というのをここまで明確に示してくれる作品も、またとない。

映画読み