劇場公開日 2020年4月3日

「もうはじまっているからね」AKIRA その辺の草さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0もうはじまっているからね

2019年12月17日
iPhoneアプリから投稿

幼稚園のころ、親のダビングした小型テープで、映像が擦り切れるほど鑑賞した作品。

まさか、劇場で観れるとは!それだけでも幸せ!

大人になってからしっかり観ると、子どものときには理解出来なかった会話や背景をしっかり把握できた(大佐が査問会議にかけられるあたりの話、反乱分子内の関係性など)。

この作品で一番好きなキャラは、大佐だ。大佐ほどよくできた人間はいないと思う。事態を冷静に捉え、的確に指示を出す。幹部に屈しないで正義を貫く姿勢。強大な力に自分1人でも立ち向かう勇敢さ......

そういった先入観を排除してレビューするが、満点をつけざるを得ない。

・作画力
キャラとか背景の美しさは、現代のアニメの方が上。しかし、そういった要素がどうでもよくなるほど、物理表現が優れている。
何が起きているかを、頭に直接伝えてくるような圧倒的な描写力。非現実な現象でも、見入ってしまうほどの説得力。これらは、現代のアニメをはるかに凌駕している。予算の問題だけではなく、作画者の観察力と表現力が常人離れしているからこそ生み出せるものだと思った。あとは、とにかく、金田のバイクがカッコいい。

・シーンの見せ方
冒頭のオープニングで一気に観客の目を引きつける。あのオープニングを超えるアニメを観たことがない。
また、何巻もある原作の内容を1つの映画で完結させるための編集努力が感じられる。当然だが無駄と思われるシーンはない。逆に、ただシーンをはりつけてるだけでもない。シーン終了時ズームアウトさせる技法を使ったり、キャラが驚いたりするシーンに余韻をもたせることで、観客を引きつける。ただ、一部グロい表現があるため、そこは注意。

・ストーリーの構成
上述の通り、長い作品を1つにまとめているため、展開はスピーディ。1場面の後にどの場面を持ってくるのが効果的か、緻密に計算されているような気がした。原作とは違うオリジナルの展開が用意されているが、結末に至るまでの流れは自然。結末は賛否両論あるが、個人的にはOK。作品のテーマ的に、抽象的な部分を残すべきと感じられるからだ。最後の問いかけに対する正解は、何度観てもわからないが、それでも良いのかなと。

・音楽、効果音、セリフ
芸能山城組が、オープニング、エンディングを盛り上げる。重低音、ミステリアスな効果音もオリジナリティがある。金田の名台詞は何度聞いてもかっこいい。

この映画には様々な要素が詰まっている。
驚き、喜び、怒り、恐れ、悲しみ、友情、慈しみ、愛など。

とても見応えのあるアニメーション。
多くのアニメの原点としてふさわしい作品。

アニメ多め