劇場公開日 1960年11月13日

「題名の本当に意味するところ」秋日和 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0題名の本当に意味するところ

2020年1月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

主人公は司葉子のアヤ子のようで、やっぱり原節子の秋子です
題名は秋日和なんですから、終盤の結婚式の後でおじさん三人組が、いい結婚式だった、お日柄もよかったとか言ってますが、結局は秋子の話です
彼女の日和具合の物語です

原節子40歳、司葉子26歳、岡田茉莉子27歳
アヤ子と百合子は24歳の設定
原節子の演じる秋子は45歳くらいの設定なので、ちょっと気の毒ですが、秋子は超美しい未亡人という設定なので許しましょう
間宮と田口の奥さんの警戒ぶりが可笑しいです

冒頭でおじさん三人組がちょっと違った色気が出てきたと絶賛するように、大変に中年男殺しの雰囲気が自然に原節子から立ち上っています
原節子は、若い時はちょっと毒もある雰囲気を持っていましたが、それが綺麗サッパリ消えています

劇中では、間宮が昼飯を誘うと用事があるからと断っているのに、結局時間のかかる鰻を食べに行ってます
ビールまで飲んでます
上品だけどさばけてもいることを説明していますが、それよりも秋子は実は押しに弱いという説明なのだと思います

彼女が三輪と結婚したのも、どうやら三輪が押しまくったからようで、三人組は薬を買うだけでいじいじしていただけという話を何度も取り上げるのも同じ意図です

お話は彼岸花と晩春を足して2で割って、少々コメディタッチを加えてセンチメンタルを減らした感じです
小津監督作品で一番笑った作品です

おじさん三人組の話は本当にリアルで笑ってしまいます

お寿司屋さんのお客さんの蛤と赤貝の話は猥談です
三人組も同じお店でやってますね

秋子はラストシーンで心配で様子を見にきた百合子が帰ったあと、玄関先の電気を消して真っ暗になった時には、やはり独りの寂しさを噛み締めています
肩でため息をかすかについて空っぽのアヤ子の部屋を見やります
これで良かったんだとの微笑みでエンドマークとなりますが、そのまえにアパートの廊下が映ります
秋子の潜在的な誰かが来て欲しいという思い
そしていつか誰かが来るに違いないとの暗示なのだと思いたいです
百合子でなく本当は平山が来て欲しかったのかも知れません

もう麓から山にのぼるなんて懲り懲り
それは確かに秋子の本心なのでしょうが
平山とは、もしかしたら、もしかするかもということなのだと思いたいです
何年もかかるのでしょうが…

平山が自分の痒いところが云々とかだけでなく、彼女の寂しさを受け止めなければいけないということを、気づけたなら彼はきっと自ら行動する筈です

それならばきっと秋子の日和もきっといい山登り向きの天気になると思います
ハイキング日和のはずです
平山がハイキングに本気で誘えば、秋子が一緒に行く日がいつかくると思うのです
これが本当のテーマなのだと思います
だから秋日和なのです

次は間宮のお嬢さんの縁談だ!と盛り上がって、慌ててお前たちには頼まないと間宮が返します
でも彼女、実はアヤ子と結婚した後藤を好きだったのだと思います
きっと一波乱ありそうです

百合子が怒鳴り込みに来たとき、平山様がお見えですと間宮の役員室に入ってきた若い女性、岩下志麻だと思います
2年後に秋刀魚の味でヒロイン役に抜擢されます
後に極道の妻が当たり役になるとは想像も出来ない清楚なお嬢様姿でした

あき240