劇場公開日 1964年6月28日

「浮雲よりわかりやすい」赤い殺意(1964) タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0浮雲よりわかりやすい

2023年3月26日
PCから投稿

長すぎるので2回に分けて見たのが良かった。とても良い映画だった。
白黒映画が終焉を迎える寸前まで日本映画はこんなに素晴らしかったんだと思った。
この女優さんはカラー時代になって私が大好きなトラック野郎というシリーズに登場していた。主人公の子分的キャラの奥さん役だった。あれはあれでいいか映画ではあったのだが・・
カラーで美しい色を出すには照明にとてつもないお金がかかる。それをやれるほどの興行収入を得ることは日本市場では無理だった。それで日本映画は終わりに向かっていってしまった。
それはさておき
この映画がこれほどまでに心に残るものとなったのは、一つには白黒写真の美しさがある。カメラマンの腕は冴えていてとても写真がいい。構図がいい。ボケがいい。主人公の太目の女体の美しさを表現するのにとても適したレンズだったと思う。この作品を楽しめなかったという人が多かったがおそらく写真の良さがよく分からない人たちだと思う。と言うか私が写真オタクなので。
更には、この映画はテレビ画面で見ると全然面白さがわからないだろう。プロジェクターで横幅2メートル以上にすることによってカメラマンと監督の意図が表現される。例えば大きな包丁がアップになった場合・・自分の体より小さなモニターにそれが映ってもさほど恐怖感とか伝わってこない。でかい画面で目の前にバンと大きな包丁が迫ってくるから怖いという直感的な感情が生まれるのだ。それが映画だ。そして大画面で見るとボケの美しさがまるで違う。
映画というものはストーリーは多少頭でも俳優の魅力が伝わってくればそれでいい女だ私は思ってるこの映画から女優の魅力はすごく伝わってきた。そして当然のごとく太目で大型の彼女が欲しいなぁと思ったのである。

タンバラライ