劇場公開日 2008年4月26日

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「幸福は脆い。でも、家族は強い。」あの空をおぼえてる mori2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0幸福は脆い。でも、家族は強い。

2008年4月25日

泣ける

悲しい

幸せ

 何と竹野内 豊 主演作としては、「冷静と情熱のあいだ」以来7年ぶり2本目なんだそうです。幸せな家族を、突然襲う悲劇。そこから懸命に立ち直ろうとする父、母、息子。こんな殺伐とした時代だからこそ、多くの人に観てもらいたい…そう思える映画です。

 『一番悲しいのは、誰なのか?』人は、悲しみの前には、全く無力です。この映画では、一緒に事故に遭って、1人生き残ってしまった、まだ子どもの英治が最も悲しいはずなのです。けれども英治は悲嘆に暮れる両親に、『何とか元気を取り戻してほしい!』と、健気にも一生懸命に明るくふるまうのです。ホントは大人(親)がもっとしっかりして、子どもを守ってやらなくちゃいけないんですが、どちらかと言えば大人の方が何も出来ないのです、こういう時。『大人の方が弱いな…』と、観ていて、悲しくて情けなくなりました。偉そうな事言ってますが、吾輩も恐らくこういう立場に立たされると、同じような状態になってしまうと思います。
 でも、時が経つと前を向こうとするのも人間です。英治の一生懸命な気持ちが、やがて雅仁や慶子の心を少しずつ解きほぐし、“絵里奈の死”を現実のモノとして受けとめ、そしてソレを乗り越えて、家族として新しい命の誕生を迎えていく…。その過程は、観ている側としては、悲しくてどうしようもないのですが、この映画は一連の時の流れを、とても優しくスクリーンに描き出しているので、本当に清々しい感動を得ることが出来ました。涙が溢れて吾輩ホント、困りました…(^^;。

 出てくる人みんなが“いい人”ばかりで、良かれと思ってしたことが、少し空回りしてしまう…と、いったシーンがちょくちょく出てくるのですが、誰もがみんな一生懸命なんだってことは、充分に伝わってきます。それがこの映画の最も良心的なところじゃないかな~?と思います。決して大作なんかじゃないですが、観る人の心を温かくしてくれることは、間違いありません。保障いたします。
 俳優陣も皆、一生懸命な芝居を見せてくれます。特に兄妹役の子役の2人は素晴らしい!ただ、妹役の吉田里琴ちゃん、ちょっと芸達者すぎるぞ~って、思ってましたら、この子実年齢・8歳なんですね。役の設定より少しお姉さんてことで、納得いたしました。だってウチの子、今年6歳ですが、劇中の絵里奈より、全然子どもですから…(^^;。

 また、ラストに流れる平井堅が歌う主題歌が、またイイ!映画が表している世界観に実に上手くマッチしていて(歌詞も曲調も)、この歌だけ別の場所で聴いても、吾輩“キュ~ン”となってしまいましたわ(>_<)。

mori2