劇場公開日 2007年8月4日

「ロハスでいられなくなった2人」プロヴァンスの贈りもの josh lemon lymanさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5ロハスでいられなくなった2人

2007年8月11日

人間、慣れないことをやっちゃあいかんという見本のような作品。リドリー・スコットにラッセル・クロウ、大御所アルバート・フィニーに天才子役フレディ・ハイモア、今年度アカデミー賞主演女優賞の呼び声も高いマリオン・コティヤールにBond22でボンドガールが噂されるアビー・コーニッシュとまさに豪華絢爛なキャストが勢揃いしたにも関わらず、退屈な物語と迷走する演出のおかげで才能が空回り。元凶はクロウとコメディの痛すぎるミスマッチだが、彼に関わる全てがドン底に引き擦り込まれてしまう。共演シーンのないフレディ・ハイモアが一番輝いて見えるのは偶然ではないだろう。クロウの気取った笑顔と底の浅い苦悶の表情がキャラクターへの感情移入を一切許さず、映画の賛美するスローライフがバカバカしい御伽噺に見える。実際、この映画でしくじったスコットとクロウはすぐに巻き返しの一作(アメリカン・ギャングスター)に取り掛かっている。スローライフだロハスだと言ってる場合ではなくなってしまった彼らの多忙ぶりを笑うしかない。

josh lemon lyman